
平成22年6月14日から8月2日にかけての約7週間、 サマークラークとしてNICDでお世話になりました。 実務家養成を謳う法科大学院を修了したといっても、 生活の重点は新司法試験の受験勉強になってしまっていたため、 新司法試験が終了してから司法修習が始まるまでの間に少しでも実務に触れて勉強したいと考え、 サマークラークとして勉強させていただきました。
NICDではサマークラークとしては比較的長期間勤務させていただけたため、 複数の案件について、検察や裁判所・事件関係者の対応が変化していく中で 解決のための方針を立てて変更していくという動きを見ることができて大変有意義でした。
具体的な執務のメインは、弁護士の先生の監督のもと,刑事事件の一件記録を読んで、 法律の論点や事実認定の問題点を検討し、刑事訴訟の追行ための書類を起案することでした。 私にとっては目前の一冊の書類の束にすぎないけれど、 被害者・被告人その他の関係者にとって個々の事件が人生で最も大きな出来事のうちのひとつで、 今後の人生を大きく決定づけるのだと考えると、記録を読むのも書類を作成するのもとても緊張します。
このような書類の起案をさせてもらうこと自体は、サマークラークとしては一般的なことで、 応募した時から予想していた執務内容と言えます。 しかし、NICDでは予想外の体験もすることができました。 それは刑事事件のための証拠収集として、火災現場の現場見分に同行させていただいたことです。 これまでの私のイメージでは、原告と被告が互いに攻撃防御を尽くす民事訴訟に対して、 刑事訴訟は検察側の攻撃に対しもっぱら被告人側は防御に徹するというイメージでした。 法科大学院での事例演習教材には、検察側請求証拠の甲号証、乙号証が登場するものの、 弁護側には証人尋問請求しかなく、弁号証が登場しなかったこともあって、 検察側証人を反対尋問で崩すとか、検察側の証拠の証明力を減殺する、 あるいはアリバイを証明してくれる証人を連れてくるといった活動しか想像したことがなかったのです。 実際に専門家の方が見分している現場を見せて頂いて、 被告人の防御のために全力を尽くして戦うのが弁護人であるという基本的なことを、 具体的に考えていなかった自分を反省しました。
執務場所を弁護士先生のデスクの前に設えてもらったため、 先生方の会話や、電話相談・クライアントとの面談まで幅広く聞き耳を立てて吸収することができ, とても良い勉強になりました。2か月間大変お世話になり、ありがとうございました。すごく楽しかったです!