複数の警察官,虚偽の調書作成・公判で偽証か

2013年6月25日 Filed under:刑事司法

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さて,今日は警察官による虚偽調書作成事件のお話です。

大阪府警堺署内の留置場で起きた公務執行妨害事件で,同署の複数の警察官が虚偽の供述調書を作成し,公判でもこの調書に沿ってうその証言をした疑いがあることがわかった。

府警は組織的に隠蔽を図った可能性もあるとみて,虚偽公文書作成・同行使や偽証などの容疑で捜査を始めた。

府警によると,昨年12月,覚醒剤取締法違反容疑で逮捕され勾留中だった男(40)が留置場で騒ぎ,保護室に移そうとした留置管理課の巡査長(33)を殴ったため,現行犯逮捕された。

現場には,被害者の巡査長とは別に同課の巡査(25)もおり,事件直後にこの2人から事情を聴いた同署員は「(巡査長が)独断で保護室収容を決めた」という内容の供述調書を作った。

ところが,同課の警部補(50)が「このままでは全員が処分される」と言い,2人より階級が上の巡査部長が収容を指揮したように調書を書き換えさせたという。巡査部長は仮眠中で,巡査長の行動に問題はなかったが,警部補は,巡査長が独断で保護室に移したことが不適切と思い込んだらしい。

その後,捜査は刑事課に引き継がれ,巡査部長が現場にいなかったことが判明。だが,同課員は,警部補の調書書き換え指示を隠し,独断で収容したことが上司にばれるのを恐れた巡査長と巡査が2人で口裏合わせをしたとする内容の調書を作成したという。

男はその後,公務執行妨害罪などで起訴され,巡査長と巡査の2人が今年3月に大阪地裁堺支部で開かれた公判に証人出廷。刑事課員が作ったうその調書に沿う内容の証言をしたが,その後,府警の内部調査で一連の経緯が発覚。同支部は5月7日に予定していた判決期日を取り消し,今月下旬に改めて2人の証人尋問を行うことを決めた(2013年6月9日14時50分 読売新聞)。

逮捕後,堺署で勾留されていた男性が暴れていたとのことですから,「代用監獄」としての留置場に勾留されていたのでしょう。代用監獄制度でよく指摘される問題点としては,自白の強要による冤罪のおそれがあります。被疑者が警察の管理下で長時間拘束され,連日にわたって取調べが行われることで,虚偽の自白を誘発するという問題です。このような問題を解消し,被疑者の管理が捜査優先にならないようにするために,代用監獄では,留置場を管理する部署と捜査を担当する部署とを分離した運用をしてきました。しかし,今回の事件では,留置場の適切な管理ができなかったことを発端に,これを隠蔽するために,虚偽有印公文書作成罪や偽証罪といったより大きな問題に発展していったというものです。小さな穴を塞ごうと思ったら,かえって穴を広げる結果となってしまった,というところでしょうか。代用監獄は,拘置所よりも立地上便利なため,接見に行きやすい点で弁護士に利点はあるものの,管理や取調べの在り方として,抱える問題は多そうです。

何よりも,一連の捜査機関による不祥事を受け,警察庁は昨年8月に「組織的隠蔽の根絶」などを柱とした防止策を打ち出していたところでした。にもかかわらず,このような虚偽公文書作成・同行使・偽証事件が起きたということは,その組織的な隠蔽体質に大きな問題を抱えていることを示しています。「組織的隠蔽の根絶」のための取組みとして,「署長等のサポート体制の充実」や「問題を起こした職員の辞職に際して,真の退職理由を確認すること」を挙げていますが,これでは十分ではありません。捜査機関自身が犯罪を起こしてしまったことの意味を真摯に受け止め,反省するとともに,外部的な監視体制を充実させてはじめて,組織的隠蔽体質の改善に動き出せるでしょう。今後の対応に期待したいと思います。

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