ユダヤの知恵

2009年3月14日 Filed under:刑事弁護

今、あるユダヤ教徒が巻き込まれた冤罪刑事事件を担当しています。この事件に携わるようになってから、ユダヤの教典タルムードやユダヤの文化・法制度に強い関心を持ち始めました。ユダヤの戒律や生活規範といったものが、古代からの知恵の集積であることが分かります。

私は刑事事件を専門にする弁護士であることから、よく次のようなことを尋ねられます。「どうして悪いことをした犯罪者を弁護する必要があるのか。」と。私はそんなときにはいつも決まりきった言葉を並べていました。「その人は無実かもしれないし、弁護士の助力を受けるのは権利だ。」と。でも、次のようなユダヤの知恵の深さの前には、私の言葉など一枚の答案用紙の重さすら感じられません。

サンヘドリン(Sanhedrin)という、ローマ帝国支配下のユダヤの最高法院では、全員一致で死刑の判決を下した場合には死刑を執行できないことになっていました。「全員一致の死刑判決でなければ」ではなく、「全員一致の死刑判決のときには」...です。どうしてかというと、「全員一致」ということは、その被告人がその裁判の中で熱心な弁護を受けられなかったことを意味するからです(「ロイヤーメンタリング」アラン・ダーショヴィッツ著、日本評論社、93頁)。

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