2013年5月 のアーカイブ

ストーカー男,元交際女性を監禁し,バリカンで髪を刈って逮捕

2013年5月22日 Filed under:刑事弁護

次のような新聞記事がありました。

茨城県警日立署は21日、同県日立市金沢町、自称とび職のN容疑者(29)を監禁と暴行の疑いで逮捕した。
発表によると、N容疑者は20日午前7時半頃、自宅で元交際相手の派遣社員女性(21)を「お前にも精神的苦痛を味わわせてやる」などと脅して同日午後6時頃まで監禁し、その間、女性の髪の一部をバリカンで刈る暴行を加えた疑い。容疑を認めているという。
女性はスマートフォン(高機能携帯電話)向け無料通話アプリ「LINE(ライン)」で友人に助けを求めるメッセージを送り、友人の通報を受けて同署員が駆け付けた。
同署は19日、女性からN容疑者に付きまとわれているとの相談を電話で受けており、20日に女性と会って話を聞く予定だった(2013年5月21日10時30分 読売新聞)。


最近,弊所への法律相談電話においても,ストーカー被害(つきまとい行為)に関する相談が増えています。ストーカー行為を行う人は,「これまでお金を貢いできた」「元々交際していた」等の理由から,軽い気持ちでストーカー行為を行ってしまうようです。

刑法やストーカー規制法(「ストーカー行為等の規制等に関する法律」)等では,それまでの人間関係がどのようなものであろうとも,法律上の要件に当てはまれば,多くの場合法律に違反したとして何らかの処分が下されることになります。勿論,事案にはよりますが,刑事事件となって逮捕されることもあります。逮捕されるということになれば,今の生活が壊れる可能性も高く,自分の人生が大きく変わってしまうことになりかねません。恋人との交際が自分の意に沿わず終わってしまった場合にも,何とか気持ちを切り替えて行動するようにすることが,自分の人生を狂わせないために最も重要なことではないでしょうか。

因みに,今回の事件は女性の髪の一部のみをバリカンで刈っているので暴行罪にとどまっていますが,女性の頭髪の根元から刈った場合(丸坊主にする場合)には傷害罪になる可能性があります。



更に詳しく知りたい方は「ストーカー被害に遭っているとき」をお読みください。

被害者救済と加害者のしょく罪

2013年5月21日 Filed under:刑事弁護

次のような記事がありました。

不要になった本を寄付してもらい、本来の買い取り額を犯罪被害者やその家族への支援金に充てる取り組みが進んでいる。

「本(ホン)」で「輪(リング)を広げよう」との意味を込めて「ホンデリング」と名付けたこの活動は、スタートから約1年4か月で約200の個人・団体から1万9000冊(約55万円分)の本が集まり、被害者の医療費や転居費などに役立てられている。

ホンデリングは、認定NPO法人「全国被害者支援ネットワーク」(東京)と、古本の買い取り販売業者「バリューブックス」が協力して、2011年12月に開始した。客から寄付してもらった古本を同社が査定し、その金額をネットワークに寄付する仕組みだ。

ネットワークは賛助会員らにチラシを配ったり、ホームページを作ったりして、取り組みを紹介。大学生のボランティアグループや個人から寄付が集まるようになり、個人で72冊(約2万円分)譲ってくれた人もいた。「古本回収ボックス」を置き、支援に協力する県警もある。

同ネットワークが12年度、犯罪被害者の支援のために支給した寄付金は120件。このうち九州・山口・沖縄では計24件支給された。事件でけがを負った人の治療費や、自宅が性犯罪や殺人、放火などの被害現場となって住めなくなった時の引っ越し費用、病院や警察署、裁判所へ行くのが必要な人の交通費などに充てられた。

けがの治療費として支援金を受け取った九州在住の女性からは「仕事も休みがちになり、収入が減ってしまう状況でした。本当に助かりました」と感謝の手紙がネットワークに届いたという(2013年5月20日08時39分 読売新聞)。

罪を認めている被疑者の捜査弁護においては,被害者の方との示談交渉が何よりも重要になってきます。被害者の方は,犯罪による直接の被害の他にも,種々の苦痛を受けており,示談交渉の際には,被疑者側の代理人である弁護人も,被害者の方の苦痛を理解し,被疑者にも理解させ,そうして深まった被疑者の悔悟の情をまた被害者にフィードバックしてあげる。そのことが被害者の痛みをいくらかでも緩和してあげることになり,被疑者のしょく罪にもつながります
 

一方で,被害者の経済的困窮を救うために被疑者のしょく罪寄付を活用できないか考えたことがありますが,ある犯罪被害者団体は,被疑者からの寄付を一切断っています。自分たちの団体が寄付を受けることで,寄付をした被疑者の刑事責任が軽くなり,それによって特定の犯罪被害者の処罰意思を踏みにじることになると考えているからです。被疑者のしょく罪寄付というのは,被害者と示談が成立しない場合,つまり,被害者の処罰感情が厳しい場合に行われることが多く,この犯罪被害者団体の考えはもっともなことだと思いました。
犯罪被害者救済といっても,ただ単に金銭的に救済すれば良いというものではなく,犯罪被害者の方々の苦しみを知ることから始めなくてはなりません。刑事弁護士として肝に銘じなければいけないことです。

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