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実刑との中間刑「一部執行猶予」3年内に施行へ

2013年6月21日 Filed under:刑事司法,司法制度

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今日は「一部執行猶予制度」の話です。

受刑者を刑期途中で釈放し,実社会で立ち直りを図る「刑の一部執行猶予法」が13日成立し,3年以内にスタートする。

初めて刑務所に入る人や再犯傾向の強い薬物使用者らに保護観察を付け,支援施設での指導を通じて再犯防止につなげるのが狙いだが,「受け皿」は圧倒的に不足している。

◆更生重視へ転換 

「犯罪者を刑務所に入れることに重きを置いてきた刑事司法の大転換だ」。実刑と執行猶予の「中間刑」となる新制度の意義を,法務省幹部はこう強調する。

対象は主に,3年以下の懲役・禁錮刑で初めて刑務所に入る者と,覚醒剤などの薬物使用者で3年以下の懲役・禁錮刑が言い渡される者。「懲役3年,うち1年を2年の保護観察付き執行猶予とする」といった判決を出すことが可能になる。

これまでは「懲役3年」の実刑とするか,全部に執行猶予を付けるかだった。

新制度導入の背景には,検挙者に占める再犯者の割合(2011年は43%)の上昇がある。刑務所を出ても社会になじめないなどで犯罪を繰り返す者は多い。

今も,受刑者を刑期満了前に釈放する「仮釈放」制度はある。だが,現実には受刑者の半数ほどしか認められていない。また,仮釈放されても保護観察期間が平均5~6か月と短いため,更生に十分な時間を確保できないとの指摘があった(2013年6月14日10時09分 読売新聞)。

刑法が改正されて,新たに「一部執行猶予制度」が導入されます。執行猶予判決では軽きに過ぎ,実刑判決よりも一部の刑に執行猶予を付して社会内処遇によって改善更生を図る方が妥当な事案について,一部執行猶予判決を下すことになります。この制度の下では,特に再犯率の高い薬物関連事件について,薬物使用者には必ず保護観察が付くこととなりますし,保護観察所は薬物依存から脱却する専門的な訓練や治療を受けるように指示することができます。

再犯率の高い薬物使用者に,社会への適応力を身に付けさせることで再犯防止を図るべく,本制度が採用されたわけですが,重大な問題は残ります。すなわち,一部執行猶予の要件は,「3年以下の懲役または禁錮の言渡しを受けた場合」であるため,その適用範囲としては,これまで実刑となっていた事例の一部のみならず,これまで全部執行猶予となっていた事例にも適用されうることになります。現行法では実刑判決は重すぎるとして執行猶予判決が下されていた事案であっても,新制度の下では,実刑判決と執行猶予判決との「中間判決」ともいわれる一部執行猶予判決が下されるおそれがあるのです。そうすると,従来は問題なく(全部)執行猶予が付けられていた事案についてまで一部執行猶予を付す事例が多くなるのではないかという懸念もあり,実質的に刑の重罰化につながるおそれ生じてきます。

あくまでも薬物使用者の再犯防止が主眼なのですから,安易な一部執行猶予判決に流れることなく,既存の福祉・医療を通じた社会的援助方策を充実させるとともに,現行の仮釈放制度や保護観察制度の運用を見つめ直す中で,新制度との両立を図っていくべきでしょう。

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