リベンジポルノ

2014年1月14日 Filed under:事件

今日は「リベンジポルノ」の記事です。

元交際相手らのプライベート写真を,ふられた腹いせなどからインターネット上に流出させる「リベンジ(復讐(ふくしゅう))ポルノ」が広がりつつある。スマートフォン(スマホ)などの普及で簡単に画像のやり取りができることが背景にあるとみられ,交際中に裸の画像を求められた体験を持つ「被害予備軍」の少女らも少なくない。流出すれば完全な削除は不可能だけに,捜査関係者や専門家は「どんなに親しくても,撮らせないで」と警告する。

「交際を継続しないと写真をばらまく」。警視庁は7日,元交際相手の女性を脅したとして,東京都青梅市の無職の男(30)を強要未遂容疑で逮捕した。男は約7年前から都内の30代女性と付き合っていたが,別れ話を切り出されたことに立腹し,交際中に撮った女性の裸の写真4枚を携帯メールで送りつけたとされる。女性がすぐに相談し,ネットへの流出は避けられた。

ネットが身近な子どもたちの世界は,さらに深刻だ。通学客が行き交うターミナル駅の東京・秋葉原。今月上旬,女子高生ら約40人に聞いたところ,約8割が交際相手から裸の画像を求められた経験があると話した。
高3女子(18)=都内在住=は,中学時代から数カ月前まで4年間付き合った10歳上の男性に頼まれ,全裸や下着姿の写真を送ったことがある。「彼氏だから断る理由も無かった。独占欲が強い人だったので他人には見せられない画像が欲しかったんだと思う」。流出の不安がないのか尋ねると「そんなことをする人じゃないので怖くない」と答えた。
別の高3女子(18)=同=は,出会い系サイトで知り合い,交際した同学年の高校生から「胸の写真がほしい」とせがまれた。考えた揚げ句,「別れた後のことを考えると,写真を送るのは怖い」とネットで見つけた他人の画像を送った。

警視庁は今年1~10月,18歳未満の少女に裸の写真を送らせたとして計21人を児童ポルノ禁止法違反容疑で摘発したが,リベンジポルノの適用罪名は強要や名誉毀損(きそん)などケース・バイ・ケースで,摘発件数は集計していない。
捜査幹部は「画像を渡した後ろめたさや恥ずかしさから,本人が警察に相談に来ることはほぼない。事件化しているのは本当に氷山の一角」とみる(2013年12月19日7時15分 毎日新聞)。

今年10月に起きた三鷹市のストーカー殺人事件をきっかけにして,世間の大きな注目を集めることとなったのが,「リベンジポルノ」です。振られたことの腹いせや嫌がらせ目的で,元交際相手の裸の写真や動画をインターネット上に流出させるという,極めて悪質な方法でリベンジ(復讐)を果たすのです。
 
アメリカのカリフォルニア州では,2013年10月,リベンジポルノを処罰する法律が成立しました。その内容は,別れた相手の裸の写真や動画を,相手の同意なく公開する行為を処罰対象とし,最高6カ月の禁錮刑と最高1000ドル(約9万7千円)の罰金刑を科するものと定めています。同意の上で撮影された写真であっても,写った本人の承諾なく,インターネット上などで公開すれば,当該行為は罰せられます。同様の法律が,ニュージャージー州でも成立しているそうです。
他方,我が国では,リベンジポルノそのものを処罰することを明示した法律はありません。犯人の刑事責任を追及するためには,強要罪や脅迫罪,わいせつ物公然陳列罪,名誉毀損罪等の刑法犯として処罰するか,あるいは,児童買春・児童ポルノ禁止法やストーカー規制法違反を理由に処罰することが考えられます。民事責任を追及する場合,不法行為を理由とする損害賠償請求をして金銭賠償を求めることができます。プライバシー権侵害や名誉権侵害を理由に,サイトの運営者や管理者に対して,ポルノ写真の削除要請をすることもできます。
もっとも,損害賠償請求のような事後的な金銭賠償によっても,いったん傷つけられた被害女性のプライバシーや名誉が完全に回復することはあり得ません。サイト運営者等に削除要請をしたところで,新たに画像が投稿された場合には,再び削除要請を繰り返す必要が生じるので,こちらも根本的な解決には至りません。民事事件として処理することには限界があるのです。

そこで,アメリカのように,リベンジポルノに関する刑事処罰を強化する必要があるのではないか,リベンジポルノに関する立法を急ぐべきではないか,という議論があります。この点に関して,法務省は,現行刑法等で処罰可能なのだから,立法は必要ないという見解を表明しています。しかし,「事後的な処罰」が可能であることと,「被害発生を予防」することを混同してはなりません。リベンジポルノが,女性のプライバシー権,名誉権,あるいは,人格権を,回復困難なほどに著しく侵害する犯罪であることを考慮すれば,むしろ犯罪予防にこそ力を注ぐべきです。現行の刑法や民法等では,写真等の流出を事前に防ぐ実効的な方法が存在しない以上,どうすれば画像の流出や拡散を予防できるのか,処罰の対象となる「リベンジポルノ」とは何を意味するのか等を含めて,包括的に,立法に前向きな議論を進めていくべきでしょう。

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