「自分がやった」殺人の夫をかばった妻、不起訴

2014年2月13日 Filed under:司法制度

今日は「犯人隠避」に関する記事です。

東京地検立川支部は4日、東京都町田市、無職O容疑者(48)を殺人罪で東京地裁立川支部に起訴した。起訴状などによると、O容疑者は今年1月、八王子市のマンションの一室で、この部屋に住む男性(当時63歳)の首を両手で絞めるなどして殺害したとされる。また、地検立川支部は同日、「自分がやった」などと虚偽を述べて夫をかばったとして犯人隠避容疑で逮捕、送検されていたO容疑者の妻(45)を不起訴(起訴猶予)とした。同支部は「配偶者による犯人隠避は、任意的な刑の免除が認められるため」としている(2014年2月5日12時20分 読売新聞)。

刑法は,「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する」(刑法103条)と規定しています。本条にいう「隠避」とは,蔵匿以外の方法により官憲の発見・逮捕を免れさせる一切の行為をいい(大判昭和5・9・18),本件のような身代わり出頭の場合も「隠避」にあたります。
また,本罪は,親族間の任意的減免(刑法105条)が認められています。これは,犯人等の親族が,犯人等の利益のために犯人蔵匿等罪を犯した場合,期待可能性の程度が低く,責任が減少すると考えられているためです。簡単に言うと,親が子を庇い,妻が夫を庇うのは人間自然の感情であって,これを厳しく罰すべきではない,という理由です。単に庇うだけではなく,「自分がやった」として自ら罪をかぶろうとしたのが今回の事件です。殺人事件ですから,10年以上は服役を覚悟しなければなりません。
因みに,もし仮に真犯人の夫が妻に「身代わりになってくれ。」と頼んでいた場合には,夫には刑の減免の恩恵は与えられないというのが一般的な考え方です。そのような潔くない姑息な夫には同情できないからなのでしょう。

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