どこからがセクハラ?|市長の中学生へのとある発言が話題!セクハラの基準について徹底解説します|刑事事件に強い元検事弁護士が強力対応

どこからがセクハラ?|市長の中学生へのとある発言が話題!セクハラの基準について徹底解説します

刑事弁護コラム どこからがセクハラ?|市長の中学生へのとある発言が話題!セクハラの基準について徹底解説します

どこからがセクハラ?|市長の中学生へのとある発言が話題!セクハラの基準について徹底解説します

 先日,ある市長が参加した中学生の活動に関し,「(非常に暑い中,汗をかきながら頑張っていて)汗でブラウスが透け,下着が見えるほどだった」と発言したことに対し,セクハラではないかと話題になっています。
 最近では,性被害に声を上げ被害者への連帯を示す「#MeToo運動」の世界的広がりにみるようにセクハラ問題は今や世界中の問題となっております。

そもそもセクハラとは?

 セクハラとは,「セクシャルハラスメント」を略した言葉です。セクハラという言葉は日々耳にするものの,どのような行為がセクハラになるのか細かに理解している人は多くはないかもしれません。セクハラについての規定がある「男女雇用機会均等法」をみてみましょう。

男女雇用機会均等法第11条

 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対処するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
 2 厚生労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めるものとする。

 以上により,セクハラとは,「職場において労働者の意に反する性的な言動が行われ,それを拒否したり抵抗したりすることによって解雇,降格,減給などの不利益を受けること」や,「性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため,労働者の能力の発揮に重大な悪影響が生じる行為」と言えます。そして,この「労働者」にはパート社員,アルバイト,取引先の社員も含まれます。

男女雇用機会均等法とは?

 1997年に改正され,社員の募集,採用,昇進などで女性差別を禁止するとともに,女性に対するセクハラ規定が定められました。また,2007年には改正男女雇用機会均等法が施行され,それまでは女性労働者に限定していたセクハラ規定を男性労働者にも適用し,男女双方への性による差別的取り扱いを禁止されるようになりました。セクハラというと,主に女性が被害者である印象を抱かれる方がいるかもしれませんが,男性もその対象になります。

セクハラのタイプ(例)

対価型

 ・労働者に対して性的関係を求めたが,拒否されたため,その労働者を解雇する。
 ・労働者の腰や胸等に触ったところ抵抗されたため,その労働者について不利益な配置転換をする。

環境型

 ・同僚が目にすると嫌がるような性的な画像を自身のパソコンのスクリーンに使用する。
 ・同僚にいつも,「あっちに行って,気持ち悪いから」等と言う。

セクハラに関する判例

市議会議員セクハラ事件(2018年3月22日判決)

概要

 小山市の職員である原告が,小山市議会議員である被告から,小山市議会議員や同議会事務局職員などが参加する懇親会において,①被告の席の隣りに原告が座っていた際に,背中全体をなでるように触られたり,耳元に口を近づけたりされた。
 また,②同懇親会においてステージ上でデュエットをする際に,原告の身体を被告の方に引き寄せられ,原告の耳元に口を近づけたりされた。その後同懇親会終了後に③電話で男女関係を強要されたなどのセクシュアル・ハラスメントを受けたと主張して,被告に対し,不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において,①は認められるが,②③は認められず,①が原告の意に反して行われたことは,行為のとき原告が背中をそらすなどして不快感を示していることなどから明らかであり,同行為は,相手の意に反する不快な性的言動と認められ,セクシュアル・ハラスメントに該当するとして,原告の請求を一部認容した。

要旨

 (議員が,本件懇親会において,議員の席の隣に座って選曲のためにカラオケの本を見ていた職員に対し,職員の背中や腰に手を回したり,背中全体をなでるように触ったり,職員の耳元に口を近づけたりした事実)は認められるが,②(議員が,本件懇親会において,職員と議員のデュエット中に,職員の体を議員のほうに引き寄せ,職員の耳元に口を近づけてきた事実)及び③(議員が,本件懇親会の終了後,職員に対し,電話で「俺の女になってくれ」などと言った事実)は認められず,①が職員の意に反して行われたことは,行為のとき職員が背中をそらすなどして不快感を示していることや本件懇親会後あまり期間が経過していない時期に他の議員や弁護士に話をしていることなどから明らかであり,①の行為は,相手の意に反する不快な性的言動と認められ,セクハラに該当するものであり,これは職員の性的自由ないし人格権を侵害するものであるから,不法行為が成立し,このような議員の職員に対するセクハラの態様・程度,職員がその後不安障害になったと診断されていること等から,職員が被った精神的苦痛を慰謝する金額は30万円をもって相当と判断するとされた。

航空自衛隊自衛官(セクハラ)事件(2018年2月21日決定)

概要

 航空自衛隊甲基地の非常勤隊員として採用されていた控訴人(原告)が,上官であった被控訴人(被告)からセクハラ行為を継続的に受け,これによりPTSDを発症したなどと主張し,被控訴人に対して,慰謝料等の支払いを求め,原審が一部認容した事案において,原判決を変更し,賠償額を増額させて一部認容した。

要旨

 空曹長が上官としての地位を利用し,当時母子家庭で雇用や収入の確保が困難であった女性自衛官の弱みにつけ込んで性的関係を強要し,これを継続したことは,違法行為であるとした。更に,女性の精神状態を病的に悪化させたこと,退職後の女性を精神状態悪化のために生活保護を受けざるを得ない状態に追い込んだこと等は悪質であり,かつ,女性が,関係解消のための訴えを無視した点においても悪質であり,さらに,女性がこれらの言動を原因とするPTSD症状に現在も苦しめられているという点において,被害も深刻であり,そして,女性が自らの意思で空曹長との性交渉に応じ続けていたというのは不自然であると考えられ,女性が自ら空曹長と性交渉に応じていたとする空曹長の供述・陳述は採用することができないとされた。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。ご紹介した判例では女性が被害者でしたが,セクハラは男性が加害者で女性が被害者と決まっているものではなく,女性から男性へのセクハラ,同性間でのセクハラも起こる可能性が十分にあります。昔は問題ないとされていた言動や,行為者にはセクハラの自覚がなかったとしても,被害者の受け取り方によってセクハラと判断されることもあります。「この程度なら大丈夫だろう」などと思わず,セクハラの定義について正しく理解し,相手の気持ちに配慮して行動することが必要です。また,企業や組織団体でもセクハラの撲滅に向けてガイドラインの確立や,チェックリストの作成,相談しやすい環境の整備等,対策を講ずる必要があります。


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