刑事裁判(公判)の手続きとは|刑事事件に強い元検事弁護士が強力対応

刑事裁判(公判)の手続きとは

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刑事裁判(公判)の手続き

 検察官の起訴により公判が請求され,これを裁判所が受理し,必要な場合には公判前整理手続を経て,裁判長により第1回公判期日が指定されます。第1回公判期日は,公判前整理手続が開かれない場合は起訴日から概ね1か月後~1か月半後ころに指定されます。
 否認事件や証拠が複雑な場合には公判前整理手続が開かれますが,事案によっては半年から1年,場合によっては1年以上,公判前整理手続が続くことがあります。
 それでは,刑事裁判(公判)の手続きについて,以下多少専門用語も含まれますが,順を追って説明していきます。

冒頭手続

人定質問

 出頭した者が起訴状に記載されている被告人と同一人物か否かを確かめるものです。裁判長が被告人に氏名,生年月日,本籍,住所などを質問します。

起訴状の朗読

 検察官が起訴状を朗読します。

黙秘権の告知

 裁判長は,被告人が公判中終始沈黙しまた個々の質問に対し陳述を拒むことができる旨,陳述をすることもできる旨,陳述をすれば自己に不利益な証拠ともなりまた利益な証拠ともなるべき旨を告げます。

起訴状認否手続

 被告人および弁護人に事件について陳述する機会が与えられます。通常,「はい,間違いありません。」とか,「殺すつもりはありませんでした。」など起訴事実に対する認否を答えます。この時,裁判長は不明な点について質問することがあります。
 この時点で,「簡易公判手続」が適用される場合もあります。それは,事件が死刑または無期もしくは1年以上の懲役もしくは禁錮にあたるものでない場合,つまり比較的軽微な事件で,被告人が有罪の陳述をした場合には,その訴因(起訴状に記載された具体的犯罪事実のことをいいます)についてのみ,審理がある程度簡易化された「簡易公判手続」による旨を決定することがあるのです。実務では,この簡易公判手続はあまり利用されていません。また,「即決裁判制度とは?」で述べた即決裁判手続が検察官により申立てられている時はこれによることを決定するのはこの段階です。

証拠調手続

 「証拠調べ」とは,検察側,被告側がそれぞれ証拠によって証明しようとする事実を証明する(立証)活動のことをいいます。刑事事件では,「疑わしきは被告人の利益に」という大原則に則り,まず検察側が公訴事実の存在を「合理的な疑いをいれない程度」まで立証しなければなりません。

冒頭陳述

 検察官が証拠に基づいて証明しようとする事実を述べます。これにより事件の全体像が明らかになります。
 公判前整理手続を経た事件である場合には,被告人(または弁護人)にもこのような冒頭陳述を行う義務があります。

証拠調べの範囲・順序・方法の決定

 検察官および被告人(または弁護人)の意見を聴いたうえで裁判所が決定します。

証拠調請求

 まず検察官が行い,その後被告人(または弁護人)が行います。検察官は,「証拠等関係カード」に立証に必要な書証,証拠物,証人を記載する形で請求します。
 請求の時期は第1回公判期日以降いつでもなされます。ただし,公判前整理手続が行われた場合で集中審理が予定されているときには,第1回公判以後の新たな証拠請求は原則的にできないことになっているので注意が必要です。
 証拠調べの請求をするには「証拠の特定」をしなければなりません。目撃者,被害者本人,鑑定人などの証人(「人証」ともいいます)については,その住居・氏名を,実況見分書,鑑定書,供述調書などの「証拠書類」(「書証」ともいいます)および犯罪に使われた凶器などの「証拠物」(「物証」ともいいます)については,その標目を記載した書面(これを「証拠等関係カード」といいます)を提出することによって証拠の特定がされます。

証拠調べについての決定

 請求当事者のそれぞれの相手方(または弁護人)の意見を聴いた後に裁判所が却下するか採用するかについて決定します。

証拠調べの実施

 証拠調べには次のものがあります。また,相手方のなした証拠調べについては異議を申し立てることができ,裁判所は直ちに申立てに対する決定を下します。

  • 尋問(証人尋問,鑑定人尋問):人証の証拠調べは「尋問」の形式でなされます。証人について,請求をした当事者がまず「主尋問」をし,その直後に相手方当事者が「反対尋問」をし,さらにその後請求当事者が「再主尋問」をします。裁判官が補充尋問をすることもあります。
  • 証拠書類の取調べ:記載内容が証拠となる書面を「証拠書類」といい,これの証拠調べは「朗読」の方法でなされます。原則的に,請求者が朗読します。ただし,裁判長が当事者の意見を聴き,相当と認めた場合には,朗読に代えてその要旨のみを「告知」することができます。
  • 証拠物の取調べ:ある物(書面を含む)の存在や形状を証拠とするときには,「展示」という形で証拠調べがなされます。凶器である包丁を示すなどがこれに当たります。

被告人質問

 被告人に対しては「尋問」することはできませんが,被告人が,「質問」に対し,黙秘権,供述拒否権を理解したうえで任意に供述することができます。具体的には,まず弁護人が被告人に質問し,検察官が次に質問し,裁判官が最後に補充質問をします。

証拠書類等の提出

 証拠書類または証拠物については,証拠調後,裁判所に提出されます。

弁論手続

 証拠調べ完了後,検察側および被告人側それぞれが事件についての意見を陳述しますが,これを「最終弁論」といいます。
 まず,検察官が事件に対する意見,また,被告人に対してどのような刑罰(懲役何年に処すべきか等)を科すのが相当であるかについての意見の陳述(「論告・求刑」)を行い,それに続き弁護人が事件に対する意見陳述(「弁論」)を行います。この際,被告人側が有罪であることを認めている場合には,「情状」について述べることになり,弁護人は執行猶予付きの刑または減刑などの処置を求める弁論をします。また,最後に,被告人自身も最終陳述を行う機会があります。
 こうして弁論が終結(「結審」)します。

判決宣告

 このようにして,当事者の主張を聴き,証拠調べの結果を踏まえ,裁判官(3人以上の「合議体」による場合は裁判所)は事件についての有罪または無罪の判決をし,これを裁判長が宣告します。有罪判決の場合は,刑の言渡しがなされ,執行猶予が付与される場合は同時に言渡されます。
 以上が公判手続の概要です。第1回公判から判決までの期間ですが,認めている事件であれば,1回の公判期日で結審し,判決が概ね10日後か2週間後くらいに指定されます。争われている事件では,早くても2,3か月かかり,事案によっては1年以上かかる,長期裁判もあります。しかし,近時,公判前整理手続や裁判員裁判制度が新設されてからは,かつてあったような,10年裁判というのはほとんどなくなりました。


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