執行猶予判決とは|刑事事件に強い元検事弁護士が強力対応

執行猶予判決とは

刑事弁護コラム 執行猶予判決とは

執行猶予とは

 裁判で審理が終わり,判決日を迎えます。無罪か有罪かを争っている場合を除いて,この判決日における最大の関心事は執行猶予がつくかどうかです。言い渡された刑に執行猶予が付されると,刑務所に収容されることなく通常の生活に戻ることができるからです。
 裁判において刑を言い渡すにあたり,情状によって,一定の期間その執行を猶予する判決のことを執行猶予判決と言います。これに対して執行猶予がつかず,刑務所収容を伴う判決のことを実刑判決と言います。
 ここで情状は,犯情が軽微であったり,被告人に反省の念があることが明らかであったり,被害に対して弁償がなされていたり,被害者が被告人を許していたり,家族や近しい友人が被告人を今後保護監督することになっていたりするなど事件により様々な状況を指します。もっとも,いくら情状が良くても執行猶予を付すことができない場合があります。刑の執行猶予がなされうるためには,次のように刑法上の要件があるのです。
 それは,3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金を言い渡された場合であって,次の場合となります。

  • 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない場合,あるいは,
  • 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても,その執行を終わった日またはその執行の免除があった日から5年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない場合

 また,前に禁錮以上の刑に処せられたことがあった場合でも,その執行を猶予された者が1年以下の懲役または禁錮の言渡しを受け,「情状に特に酌量すべきものがある場合」には,刑の執行が猶予されることがあります。これを「再度の執行猶予」と言います。ただし,この場合であっても前の執行猶予判決に保護観察がついていた場合には再度の執行猶予は許されません。
 この再度の執行猶予が許されるための要件である「情状に特に酌量すべきものがある場合」とは,上記のような通常の情状,例えば,被害者と示談できた,といった通常の情状では足りないのです。感覚的には犯行後の情状というよりも犯行それ自体の情状が重視されます。
 たとえば,無免許運転で有罪判決を受け,執行猶予中の者が,子どもが高熱を出したため急いで子供を車に乗せて病院まで運転中に無免許運転で逮捕された,というような場合には,再度の執行猶予が付されるかもしれません。それくらい,再度の執行猶予というのは例外的なのです。普通は無理と考えておいた方がいいでしょう。
 ところで,執行猶予判決を得てもこれが取り消されることがあります。
 取消事由としては次のようなものがあります(執行猶予の必要的取消といいます)。

  • 猶予期間中にさらに罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ,これについて執行猶予の言渡しがないとき。(つまり,前に「懲役2年,執行猶予3年間」という判決を受けた人がその執行猶予期間中に別の事件で「懲役1年6月」という実刑判決を受けた場合には,その1年6月に加えて,取り消された前の判決である懲役2年をも同時に服役することになるので,合計3年6か月も服役しなければならない,ということを意味します。)
  • 猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられ,その刑について執行猶予の言渡しがないとき。
  • 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき。

 さらに,次の場合にも刑の執行猶予の言渡しが取り消されることがあります(これらを執行猶予の裁量的取消といいます)。

  • 猶予期間中にさらに罪をおかし,罰金に処せられたとき。
  • 保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せずその情状が重いとき。
  • 猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられ,その執行を猶予されたことが発覚したとき。

 執行猶予判決が言い渡されるということは,文字通り,刑の執行が猶予されるということです。刑自体の言渡しはなされたことになるので,上記したように,次の刑の執行猶予についてそれを付すことに対して制限されることになるほか,国家公務員の官職に就く能力を有しないなど,被告人にとって一定の資格制限の事由となる場合があります。
 執行猶予を取り消されることなく猶予期間が経過したときは,刑の言渡しは効力を失います。従って,資格制限についていえば,将来的に向けてなくなることになり,例えば,国家公務員であれば,刑の執行を受けることがなくなったので,その職責に就く能力は有することになります。ただ,刑の言渡しを受けたことがある,という事実は消滅しないので,情状に影響を及ぼす場合はあります。
 2008年度は,懲役刑のうち約60%,禁錮刑のうち約90%について執行猶予が付されました。これに対して罰金刑については執行猶予が付されることはほとんどありません。なお,罰金刑は刑事罰上の罰金であり,スピード違反などの反則切符は行政罰で,ここでいう罰金刑には該当しません。


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