強制わいせつとは|キスやハグでも強制わいせつとなるか?詳細を徹底解説します|刑事事件に強い元検事弁護士が強力対応

強制わいせつとは|キスやハグでも強制わいせつとなるか?詳細を徹底解説します

刑事弁護コラム

強制わいせつとは|キスやハグでも強制わいせつとなるか?詳細を徹底解説します

強制わいせつとは|キスでも強制わいせつとなるか?詳細を徹底解説します お酒を飲んだ勢いで女子高生にキスをしたことにより,「強制わいせつ罪」として書類送検された有名人が話題となっています。日常でもニュース番組等で目にする機会のある強制わいせつ罪という罪名ですが,一体どのような行為がその処罰対象となるのでしょうか。今回のようにキス(接吻)という行為だけでも強制わいせつ罪は成立するのでしょうか。その刑罰はどれくらい重いのでしょうか?逮捕はされないのでしょうか?いろいろと関心がわいてきます。
 外国では,キスは,別に恋人同志ではない他人であっても挨拶のように,愛情表現として普通に公然と行われている文化習慣を有する国もあり,そういう文化習慣のない国でも,子供には,その子が他人の子どもであっても,愛情表現としてキスをするのが不自然ではない国もあるでしょう。また,キス以外にも「ハグ」と言われる抱き付き行為についても,強制わいせつになるのか関心があるでしょう。このあたりを法律的な観点から少し考えてみましょう。

強制わいせつとは?その成立要件について

強制わいせつとは|キスでも強制わいせつとなるか?詳細を徹底解説します まず,強制わいせつ罪とは,暴行又は脅迫を用いて,わいせつな行為をした際に成立します。また,13歳未満の者に対しわいせつな行為をした場合は,暴行や脅迫を用いなくとも,相手の同意があった場合であっても,強制わいせつ罪が成立します。13歳未満ではわいせつな行為の意味を正確に理解していないと考えられることや,同意する能力がないと考えられるためです。
 なお,強制わいせつ罪は,6月以上10年以下の有期懲役という重大犯罪となります。重いですね。
 それでは,強制わいせつ罪が成立するための要件にはどのようなものがあるのでしょうか?
 まず,「わいせつな行為」がなされる必要があります。「わいせつな行為」とは,被害者の性的羞恥心を害する行為を言い,具体的には,胸や陰部を触る行為などを言います。キスがこれにあたるのかは,後ほど解説したいと思います。
 次に,成立要件としては,被害者の同意がないことが要件となります。両者に同意があるならば,わいせつとされる行為も人間の自然な営みであったりするので,犯罪として問題にされる筋合いはありません。もちろん,両者に同意があったとしても,街中などで公然と行えば公然わいせつ罪という別の犯罪が両者に成立することには注意が必要です。
 また,強制わいせつの手段である「暴行又は脅迫」とは,被害者の反抗を著しく困難にする程度のものであることを要します。この判断は,犯人や被害者の年齢,犯行の状況,凶器の有無等によって判断されます。なお,わいせつ行為自体が暴行行為であった場合にも,本罪が成立します。つまり,特に殴るなどの暴行を加えなくても,胸を触る行為それ自体が,強制わいせつ罪の手段たる「暴行」であると同時に「わいせつな行為」でもあるわけです。
 次に,わいせつ行為が「加害者の性欲を刺戟興奮させまたは満足させるという性的意図のもとに行われること」は必要とされるでしょうか?
 従来,このような行為者の性的意図も強制わいせつ罪の成立要件でした。古い判例になりますが,例えば,専ら被害者に復讐する目的で,被害者の裸の写真を撮ったような場合には,性的意図が無いものとして扱われ,強制わいせつ罪は成立しないとした最高裁判例があり(最高裁昭和45年1月29日第1小法廷判決),その後は,この判例に従った運用がなされていました。しかし,これは,被害者の被害感情を無視するようなもので,行為者がどのような意図をもって行為したとしても,被害者が性的羞恥心を覚えるような行為は,同じく罰すべきです。そこで,従来の判例や実務運用は,時代にそぐわないとして,この最高裁判例が変更され,最高裁平成29年11月29日大法廷判決では,最高裁判所裁判官15名全員の一致で,このような行為者の性的意図を必要としない旨判断されました。

被害者の同意の有無はどのようにして判断される?

 ところで,相手の同意の有無は,裁判でよく争点になります。被害者が同意などしていない,と言い,加害者は同意があった,被害者も望んでいたなどと主張し,裁判で争われます。強制わいせつ罪における最も重要な証拠は,被害者の証言そのものですから,被害者証言の信用性が裁判の結論を左右します。
 よく,わいせつ行為をしたという証拠がどこにあるんだ,証拠がないのにそのような訴えをするな,などという主張を耳にしますが,被害者の証言が最大かつ十分な「証拠」なのです。他に証拠がなくても,被害者の証言だけで起訴され,有罪となったケースは山ほどあります。「それじゃあ,言われた者負けじゃないですか!」という声が聞こえてきそうですが,もちろん被害者証言は,行為者を有罪に出来るほど信用性高いものでなければなりません。どのような場合に被害者証言が信用できると判断されるかというと,様々な諸事情を総合的に判断します。
 例えば,加害者と被害者との関係,知り合った期間,行為に至る経緯,行為時の状況,行為後の状況など様々な事情が精査されます。この点,泥酔した上で,夜に突然,女子高生を単身居住する自宅に呼びよせて行うわいせつ行為は,同意がないとされることが多いでしょう。「男性が単身居住するマンションに行くのだから同意があったのでは?」と考える方もいるでしょうが,女性の友達と二人で行ったというなら被害者も警戒していたことが窺え,やはり同意はなかったという方向に傾きます。

はたしてキスは強制わいせつとなるか

 強制わいせつ罪の示す「わいせつな行為」は,「徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ,かつ,一般人の正常な性的羞恥心を害し,善良な性的道義観念に反する」行為を言います(最高裁昭和26年5月10日判決)。つまり,大雑把に言うと,被害者が,性的な意味で恥ずかしいという不快な思いにさせられる行為を言います。典型的には,胸や陰部を触る行為などの行為です。握手をすることは,一般的には,性的な意味で羞恥心を感じさせられるものとは言えないでしょう。もちろん,無理矢理握手されたときには嫌悪感を覚えることもあるでしょうが,それでも「わいせつ行為」とは言えないので,強制わいせつ罪は成立せず,せいぜい暴行罪や強要罪が成立し得るにとどまります。
 では,キスをすることは「わいせつ行為」にあたるのでしょうか?冒頭に述べたように,元来,キスは,世界の国々においては,挨拶,尊敬,友情を表現するものとして日常的に行われており,それはテレビの中で,各国首脳の挨拶としてもよく目にするところです。一方で,キスは,普通,性欲と結びついた性愛の表現として行われることも多く,単なる挨拶や友情,尊敬といった意味合いではなく,性欲の満足を図るために行われることも多いのです。口唇も催情感帯の一つなので,性的な意味合いを排除することはできません。ですから,そのような性愛表示としてのキスは,「わいせつ行為」に当たる可能性があります。
 では,どのような場合に,わいせつ行為と言えるのでしょうか?先ほどの被害者の同意があったかどうかという問題と重なる部分もありますが,ここでは,被害者の主観が問題なのではなく,行為としての性質が問題となります。この点,どの裁判においても,当事者の関係のほか,キスがなされた時間帯,場所,姿勢,態様,周囲の状況,雰囲気などの要素を総合的に考慮して判断しています。この点,特に親しい間柄でもなく,被害者が未成年であることなど歳も離れていて,会話の雰囲気においても,当事者が自然とキスに至るようなロマンチックな雰囲気でもなく,行為者が夜間お酒に泥酔していて性的欲求も高まっている中で,敢えて密室において突然キスをするような場合にはわいせつ行為と認定され,強制わいせつ罪が成立するでしょう。この場合,密室ですから,被害者としてはキスから更にわいせつ行為がエスカレートしていくのではないかという恐怖も感じるはずです。この場合,友情表現であるとか,挨拶であるとはなかなか弁解できません。
 ちなみに,古い裁判例で,判決文も古めかしいですが,キスのわいせつ性について,このように言っています。「男女間における接吻は性欲と関連する場合が多く,時と場合即ちその時の当事者の意思感情や行動状況環境等により一般の風俗性的道徳感情に反し猥褻な行為と認められることがあり得る。人通りの少ない所や夜間暗所で通行中の若い婦女子にその同意を得られる事情もないのに強いて接吻を為すが如きは,親子兄妹或いは子供どうし等が肉親的愛情の発露や友情として為すような場合と異なり,性的満足を得る目的をもって為したるものと解せざるを得ず,かかる状況下になされる接吻は猥褻性を具有するに至るものといわなければならない。」(昭和33年2月24日高松高裁判決)と。

では,ハグは強制わいせつとなるか

 既に説明したように,「わいせつな行為」が「徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ,かつ,普通人の正常な性的羞恥心を害し,善良な性的道義観念に反する」行為を言うとすると,はたして「ハグ」つまり抱き付き行為はどうでしょうか?
 ハグも世界中で挨拶として,あるいは,友情を示す表現として行われることが多く,そのような行為を「わいせつ行為」であると感じるのではないでしょうか。抱き付き時の状況や抱き付いた時間の長短にもよるでしょうが,胸を触る,陰部を触る,キスをするという行為に比べれば,ハグをするという行為は,直ちにそれが性的な行為であると連想することはないでしょう。ただ,それが相手の意に反して行われた場合には,暴行罪になります。
 古い判例ですが,抱き付き行為や馬乗り行為を「わいせつ行為」には当たらないとした裁判例があります。この裁判例は,顔見知りの女性をからかい,逃げる女性のあとを追って抱き付いたら同女があおむけに倒れたので,馬乗りになったという事例ですが,「猥褻とは徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ,且つ普通人の正常な性的羞恥心を害し善良な性的道義観念に反する行為をいうものであるが,(抱き付いて)馬乗りになるという行為自体は,普通の性的行為を実行する体勢ではなく,また直ちに性的行為を連想せしめる行為でもない。」として強制わいせつ罪の成立を否定し,暴行罪を認定したのでした(大阪高判昭和29年11月30日判決)。

キスの強制わいせつ罪はどのくらい刑罰が重いか

 既に説明したように,強制わいせつ罪の刑罰は,6月以上10年以下の懲役です。罰金刑というものはありません。キスという行為も胸や陰部を触るという行為も同じく強制わいせつ罪が成立しますが,量刑,つまり,刑罰の重さは異なります。犯罪行為の悪質性が違うからです。胸や陰部を触るという典型的な強制わいせつ罪の場合,前科の有無にもよりますが,懲役2年は覚悟しなければなりません。もちろん,示談等がなされていれば,それが起訴前であれば不起訴処分になる可能性があります。また,起訴後に示談が成立した場合には,執行猶予判決がつくことが多いでしょう。
 一方,わいせつ行為がキスだけ,しかも,一回キスしただけという場合には,その態様,犯行時間の短さ,強度,被害感情の強さなどを考慮すると,他の強制わいせつ事案よりは,量刑は低くなります。捜査段階で示談が成立すれば,不起訴処分になるでしょうし,捜査段階で示談が成立せずに起訴されたとしても,感覚的な見解になりますが,重くて懲役1年6か月,軽ければ懲役10月程度でしょう。こちらももちろん起訴後に示談が成立すれば執行猶予判決となるでしょう。
 なお,最近の法改正で強制わいせつ罪は親告罪ではなくなりました。ですから告訴がなくても検察官は起訴できます。

強制わいせつで逮捕された場合の対処法について

 強制わいせつ罪で逮捕された場合,どのように行動すればよいでしょうか。ここでも弁護士の選任が重要です。事実に争いがある場合には,取調べに対する的確なアドバイスが必要になってきますし,事実関係に争いがない場合でも,迅速に示談交渉に着手して身柄拘束期間を短くする必要があるからです。逮捕・勾留という身体拘束は,様々な社会的な不利益を本人にもたらします。勤務先を解雇になるかもしれません。家族も心配で毎日眠れません。今後の見通しや裁判になるのかどうかも分からない中で不安ばかりが日々増していきます。本人に事情を聞きたいけれど,面会時間が限られている上,面会にあっても事件に関する会話は禁止されます。
 この点,専門性を有する経験ある弁護士であれば,いつでも接見できますし(時間の制約は原則ございません),検事面会等を通じて情報を収集し,事件の見通しもつけることができます。そして,何よりも示談交渉に着手することができるのです。もし,示談交渉に成功すれば不起訴処分になる可能性が高まりますし,身柄拘束期間を短縮することに繋がるかもしれません。そのため,早期から刑事事件に詳しい専門的な刑事弁護士が必要となります。
 なお,当事務所では,検事時代に被害者に長年接してきた元検事の弁護士2名が率いる弁護士チームが対応いたしますので,被害者との交渉内容,方法,タイミングについて,最善のアドバイス,弁護活動を提供いたします。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。キスも強制わいせつ罪になると何となく理解していた人も,具体的にどうしてわいせつ行為と言えるのか,その判断要素は何かなど曖昧な方も多かったと思います。そういう方がこの説明で理解が深まったとしたら幸いです。また,逮捕を回避するため,あるいは,逮捕されたとして起訴や実刑を避けるためには何と言っても弁護士の助力が必要です。一番重要なことは,自らを犯罪の行う環境に置かないことですが,犯罪というものは,何も特別な「犯罪人」という種類の人が犯すものではありません。誰でも犯罪を行ってしまう潜在的リスクを有しているのです。そのリスクを出来るだけ小さくするには,普段の生活習慣や生活態度を正すところから始めてみませんか。お酒もそうです。わいせつ系の犯罪はそのほとんどがお酒が絡んでいるからです。飲んでものまれるな,ですね。


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