横領罪で逮捕されたら -横領罪の条文-|刑事事件に強い元検事弁護士が強力対応

横領罪で逮捕されたら -横領罪の条文-

刑事弁護コラム

横領罪・業務上横領罪・遺失物等横領罪の条文(懲役・罰金・時効)について

横領罪

刑法252条

 1項 自己の占有する他人の物を横領した者は,5年以下の懲役に処する。
 2項 自己の物であっても,公務所から保管を命ぜられた場合において,これを横領した者も,前項と同様とする。

公訴時効

 5年(刑事訴訟法250条2項5号)

業務上横領罪

刑法253条

 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は,10年以下の懲役に処する。

公訴時効

 7年(刑事訴訟法250条2項4号)
 

遺失物等横領罪

刑法254条

 遺失物,漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は,1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

公訴時効

 3年(刑事訴訟法250条2項6号)

表1 罪刑・公訴時効

横領罪業務上横領罪遺失物等横領罪
懲役5年以下10年以下1年以下
罰金10万円以下
公訴時効5年7年3年

横領罪・業務上横領罪・遺失物等横領罪の起訴・不起訴(起訴猶予)について

 平成24年に検察庁で処理された人員は22,664人です。
 また,平成24年に起訴されたのは2,007人,不起訴処分となったのは8,705人(うち,起訴猶予となったのは7,301人)となっています。起訴猶予率は68.2%です。

表2 罪名別検察庁終局処理人員・起訴率(平成24年)

処理人員22,664
起訴人員2,007
不起訴人員58,705
不起訴人員のうち起訴猶予7,301
起訴猶予率68.2%

 ※平成25年版犯罪白書によります。

 平成25年に地方裁判所で有罪判決を受けたのは529人です。うち,執行猶予が付されているのは244人です。執行猶予率は46.1%になります。

表3 地方裁判所における有罪人員・執行猶予人員及び執行猶予率(平成25年)

有罪人員529
執行猶予人員244
執行猶予率46.1%

 ※司法統計年報によります。

横領罪・業務上横領罪・遺失物等横領罪の判例・裁判例について

 ※下記は裁判例の紹介であり,当事務所が扱った事例ではありません。

前橋地方裁判所 平成26年8月8日

 食品加工工場で勤務する被告人が,そこで製造している冷凍食品に農薬を吹き付けることを繰り返し,この事実の発覚を恐れて商店の駐輪場にあった自転車(使用者の意思に基づかずにその占有を離れた)を使用した事案。
 農薬吹きつけ行為につき器物損壊,偽計業務妨害罪が成立,自転車の乗り去り行為につき占有離脱物横領罪が成立するとして,懲役3年6月に処した。

大阪地方裁判所 平成26年5月27日

 事件当時,弁護士であった被告人が,成年後見人として管理をしていた現金を着服したという業務上横領事件。
 被告人は,自己の金銭のやりくりに貧窮した結果,成年後見人として管理等していた現金に手をつけ,経緯や動機に酌むべき点はなく,また,法律の専門家である弁護士という立場から,高度な信頼の下に,家庭裁判所から成年後見人に選任され,成年被後見人の財産管理等を行う職務を負っていたにもかかわらず,これに違背して本件各犯行に及んだという点で,非難される程度や社会的影響が大きいとし,懲役2年6月,執行猶予5年を言い渡した。

神戸地方裁判所尼崎支部 平成26年5月9日

 信用金庫の支店長代理である被告人が,顧客らから複数の定期預金を中途解約し,中途解約金を普通預金口座の入金すること及び融資返済金に充てることを依頼されたことを契機に,業務上預り保管していたものから,自己の費消を目的として計800万円以上の金銭を横領した事案。
 前科前歴がないことや社会的制裁を受けたことなど,被告人にとって有利な事情を考慮しても,本件各犯行による被害額の大きさ等に鑑みれば,執行猶予をつけることはできないと判断し,懲役2年を言い渡した事例。

仙台地方裁判所 平成26年3月27日

 社会福祉法人の理事長兼会計責任者である被告人が,計7回,それぞれ第三者に指示して,社会福祉法人理事名義の普通預金口座の預金から現金を払い戻させ,その現金を自ら又は第三者に指示して入金し又は入金させた事実の存否が争点となった事案。
 被告人が,本件各出入金について,第三者に指示して本件各出金を行わせ,その現金を自ら又は第三者に指示して本件各入金行為に及んだものとは認められず,被告人による各横領行為を認定することはできないとして,被告人に対し無罪の言渡しをした。

仙台地方裁判所 平成26年3月27日

 弁護士である被告人は,家庭裁判所より成年後見人として選任されて当該成年被後見人の財産の管理等の業務に従事していたものであるが,成年被後見人のため業務上預かり保管中の定期預金を解約して払戻しを受けた金員を被告人名義の口座に入金し,また,自己の債務の弁済として同金員を消費し,計4244万円を横領したという事案。
 被告人が横領した金員を自己の法律事務所の経費や債務の弁済にあてたという事情は身勝手なものであり,高い職業倫理を有する法律専門家の信頼を利用したものであって厳しい非難を免れないが,被告人は事実を全て認め謝罪や反省の言も述べていることや長年にわたり弁護士としてある時期までは社会貢献をしてきたと認められ,また,自業自得ながら社会的制裁を受けることが見込まれること,情状証人が支援の意思を示し,前科前歴もなく,高齢で,アルコール依存の治療も必要であるという事情を鑑みて懲役5年とした事例。

静岡地方裁判所 平成25年10月17日

 弁護士である被告人は,成年後見の事務に従事していたものであるが,弁護士としての収入が減少したにも拘わらず後輩弁護士への見栄から所属事務所の経費を多く負担したり,住宅ローンの支払いや妻に対する多額の小遣い金等が負担となって金銭に窮し,業務上預かり保管中の現金合計1460万円を横領したという事案。
 被告人は社会正義の実現を旨とし,高い倫理観をもってその職務を誠実に全うするという高い使命を負っていながら,その最低限の職業倫理すら忘れ背信的な行為を繰り返したことは信頼を裏切る悪質な犯行であり,その刑事責任は重いが,被害金は同僚の弁護士や被告人の親族の負担により弁償されていること,弁護士業務に従事しない意思を表明し弁護士登録を抹消していること,反省の態度も示していること,本件を機に妻と離婚して子どもの親権者となり子どもを養育する立場にあること,前科は交通事犯2件であることやうつ病に罹患していたことなどを考慮して,懲役3年,執行猶予4年とした事案。

東京地方裁判所 平成25年7月9日

 弁護士である被告人は,成年後見の事務に従事していたものであるが,成年被後見人のために業務上預かり保管中の口座から自己の口座に送金し,計1270万円を横領し,横領の事実の発覚を免れるため成年被後見人の通帳を偽造して写しを後見事務報告書に添付して家庭裁判所に提出し,また,所得税を滞納していたが,自己の財産に対する執行を免れるため,被告人の業務にかかる破産手続の報酬を自己の別の口座に送金するなどして,執行を免れる目的で財産を隠蔽したという事案。
 被告人は,職務の中立性から高度な信頼のもと裁判所により選任されて職務を全うすべき義務を負っているにも拘わらず,それを裏切り本件犯行に及んだのであり強い非難を免れないし,通帳を偽造したことにより横領の事実の発覚が遅れ文書の社会的信用も著しく損なわれたものであり,国税徴収法違反についても隠蔽の方法が極めて悪質であるとして,被告人に懲役2年6月を言い渡した。

千葉地方裁判所 平成25年3月6日

 被告人が,自転車の占有離脱物横領罪により執行猶予付き判決を受けていながら,猶予期間中に4件の自転車の占有離脱物横領罪を犯した事案。
 高度の常習性と動機の短絡性が認められるとしながらも,事案が軽微であること,被告人が70代半ばと高齢であり,軽度の精神遅滞による認知判断能力の低下がみられることから,短期懲役刑の実刑に処するよりも,養護老人ホームに入所させ,関係機関が連携して支援と生活指導をする方が再犯防止につながるとして,被告人に懲役10月と執行猶予4年及び猶予期間中は保護観察に付する旨を言い渡した。

東京高等裁判所 平成24年10月17日

 無施錠で駐輪されていた自転車を持ち去った行為について窃盗罪と占有離脱物横領罪のいずれが認められるかにつき,占有の有無が争点となった事案。
 本件において,被害者は,自転車に施錠をせず,また,駐輪場に駐輪するなどといった占有の意思が認められる様な事情は無いばかりか,自転車を止めた場所から遠く離れ,長時間戻ってこなかったものであることからも占有を肯定することはできず,また,無施錠で路上に放置された自転車について占有を肯定することもできず,占有離脱物横領罪が成立するに止まるものとされた。

最高裁判所 平成24年10月9日

 成年後見人であり被後見人の養父でもある被告人が,後見の事務として業務上預かっていた被後見人の預貯金を引き出して横領した事案。
 後見の事務は公的性格を有するものであり,被後見人のために財産を誠実に管理すべき法律上の義務を負っているのであるから,たとえ後見人と被後見人との間に刑法244条1項所定の親族関係があったとしても,これを準用して刑罰を免除することはおろか,情状酌量の事情として考慮すべきではないとして,上告を棄却し,被告人に懲役3年を言い渡した。

広島高等裁判所 平成24年5月11日

 A社の従業員として資金管理に従事していた被告人が,B社の専務理事として財産管理等の業務全般を管理していた共犯者と共謀の上,A社の経営資金に充てる目的で,106回にわたりB社名義の口座の預金をA社名義の口座に入金したとして,業務上横領罪の共同正犯に問われた事案。
 被告人は,本件の資金流用が横領行為に当たることを認識していたとして,控訴を棄却し,被告人に懲役3年,執行猶予5年を言い渡した。

青森地方裁判所 平成24年5月8日

 社会福祉法人で貸付業務に携わっていた被告人が,決裁権を有する上司を騙して,法人の預金口座からの払戻しを承認させて資金を詐取し,さらに業務上預かっていた資金を横領したとして,22件の詐欺及び22件の業務上横領に問われた事案。
 法人が,貸し付け業務をほぼ被告人任せにしたり,上司らが資金移動について事後的に確認しなかったりしたことが,被告人の犯行を可能にした面があるなど,被告人のために斟酌すべき事情を考慮したとしても,刑の執行猶予が相当な事案とはいえないとして,被告人に懲役2年10月を言い渡した。


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