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盗撮の手法や発覚の経緯を弁護士が解説

毎日のようにニュースで目にする盗撮事件。小学校教師が更衣室に小型カメラを隠して逮捕、公務員が通勤途中で盗撮をし、懲戒処分など、一定の社会的地位のある人までが盗撮事件を起こし、人生を棒に振っています。

かつてはせいぜい「覗き」による軽犯罪法違反しか適用法令もなかったものが、スマートフォンの普及やデジタルカメラの小型化によって「盗撮」といった犯罪が多く発生し、各都道府県の条例で刑罰を伴う規制が広がりました。

盗撮の方法も巧妙化し、その犯罪手法も多岐に及んでいます。例えば、2020年に逮捕された盗撮事件の例としては、女性用トイレに侵入しスマートフォンで客を盗撮した事案や、カメラ付きボールペンを女性宅の玄関ポストに設置して居室内を盗撮した事案などがあります。いずれも防犯カメラの映像などから犯行後に逮捕されています。

今回は、盗撮の手法から盗撮事件が発覚する経緯や、発覚した後どのような対応をするのが良いのかを代表弁護士・中村勉が解説いたします。

盗撮とは

盗撮とは、読んで字のごとく「盗み撮る」行為であり、カメラや携帯電話の器具を用いて、被写体の画像又は映像を隠しとる行為を指します。通常、盗撮という言葉には、被写体は人物以外にも、映画や美術品、企業の会議等の情報的価値及び秘匿性の高いものを含みますが、ここでは人物(特に女性)を対象とする行為の犯罪について解説したいと思います。

どのような行為が「盗撮」となるのか

東京都の迷惑防止条例を例にとってみると、まず前提が「正当な理由なく」と規定していることから、少なくとも対象者本人の同意がある場合には本罪は成立しないと言えるでしょう。そして、公衆浴場や更衣室、トイレにおいて衣服によって隠されている身体の一部又は全身を盗撮する行為が、この撮影行為に該当することは間違いないでしょう。

もっとも、平成20年の最高裁判決は、被告人が衣類の上から女性の臀部を隠し撮る行為は「著しく羞恥させ、又は不安を覚えさせる」、「卑わいな言動」に該当すると判断しました。同判決は『被害者が現に「著しくしゅう恥し、又は不安を覚える」ことは必要ではないが、被害者の主観の如何にかかわらず、客観的に「著しくしゅう恥させ、又は不安を覚えさせるような行為」と認められるものでなければならない』としました。

したがって、撮影行為が客観的に著しくしゅう恥させ、又は不安を覚えさせるような行為に該当すると判断されれば、たとえ衣服に覆われている部分を撮影したにすぎない(映像に対象者の秘部が撮影されていなかった場合)としても、処罰されてしまう可能性があります。

盗撮行為はもはや「公共の場所」に限られない

かつての盗撮行為は、「公共の場所」における行為に限定されていました。しかし、近年、上記の「公共の場所」にとどまらず、住居や学校の教室、会社内等の平穏を害するような新たな迷惑行為の事例が相次いだことから、2019年頃より処罰範囲を拡大する条例改正が各地でなされ、「住居」における盗撮も罰則の対象となりました(一部県を除く)。

したがって、例えば、住居において人の通常衣服で隠されている下着又は身体を撮影する行為も、迷惑防止条例違反になり得ます(たとえば、東京都の公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第5条1項2号イ)。

盗撮により逮捕されるのか

盗撮は条例違反であり刑法犯ではないので、比較的軽微な犯罪とされます。その多くは逮捕せずに在宅のまま捜査が進められます。盗撮を行っているときに被害者や目撃者などから声をかけられた場合や、盗撮を行っていることに被害者や目撃者が気付いて警察や駅員などに通報した場合には、一時的には警察署への同行を求められ、取調べを受けますが、家族などが身柄引受人になれば釈放され、その後は在宅事件として捜査が継続するのが通常です。しかし、盗撮が発覚して現場から逃走した場合や、警察の出頭要請に応じなかった場合、容疑を否認する場合には逮捕される可能性があります。

盗撮で逮捕された具体例

様々な状況がありますが、一例を以下に列挙します。

  • 駅構内で、女性のスカート内を盗撮し、被害者が通報したことにより後日に逮捕された例
  • 盗撮目的で女性宅に侵入し、盗撮用のカメラを室内に設置の上、盗撮したところ、被害届が出され、防犯カメラ捜査等を経て、後日に逮捕された例
  • 通勤経路にある電車内で、特定の女性を対象にして、複数回盗撮したところ、張り込んでいた捜査官らにより現行犯逮捕された例
  • 駅構内で、女性のスカート内を盗撮しようと携帯電話を差し向けた後、声をかけてきた第三者を突き飛ばして怪我をさせてしまい、臨場した捜査官らにより現行犯逮捕された例 等

盗撮が発覚する経緯・逮捕までの流れ

盗撮で逮捕される場合としては、現場でカメラを差し向けた、あるいは設置した時点で現行犯逮捕されてしまう場合、もしくは設置した機具を発見されてしまう場合が考えられます。後者の場合には警察が被害届に応じて、捜査を開始し、設置された機具に残った画像を解析したり、侵入した建物のフロア部分の監視カメラの映像を対照させたりして犯人を特定します。

場合により、予め、逮捕状などの強制令状を取得することもあります。したがって、盗撮行為後2、3か月が経過したのちに突然、警察が逮捕状を持ってやってくることもあり得ます。

盗撮で警察に逮捕された場合には、48時間の身体拘束の後、検察官によりさらに24時間の身体拘束を受けることがあります。さらに、検察官が捜査の必要性があると判断した場合には勾留を請求し、それが裁判官に認められた場合、最大23日間の身体拘束を受けます。また、盗撮行為をした人が公務員であったり社会的責任のある立場である人の場合には逮捕後、実名報道されるということも珍しくありません。

盗撮による逮捕を回避するには

盗撮をした被疑者が事件の後に逃げ続けていると、警察に逮捕される可能性があります。一方で、逃亡した被疑者が自ら警察署に出頭することで、逮捕を避けられることもあります。

その際、弁護士が、逮捕の回避を求める意見書を提出したり、被疑者と一緒に警察署に出頭したりすることによって、逮捕を回避できる確率が高くなります。もし、盗撮が発覚して逃げ出してしまったような場合には、逮捕されてしまう前に、速やかに弁護士に相談した方が良いでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。このように、盗撮は社会的非難の強い犯罪であり、逮捕されたら報道によりプライバシーが晒され、社会復帰が困難になるケースも少なくありません。そして、押収されたスマホから他の盗撮画像が見つかり、余罪が次々に発覚し、量刑が重くなったり、余罪につき再逮捕されたりする等、様々な場面で不利になっていく場合もあります。

もし盗撮してしまい、警察に逮捕される可能性について不安でいっぱいになったら弁護士に直ぐにご相談ください。逮捕されてからではすべて手遅れになります。

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当事務所は、刑事事件関連の法律相談を年間3000件ものペースで受け付けており、警察捜査の流れ、被疑者特定に至る過程、捜査手法、強制捜査着手のタイミング、あるいは起訴不起訴の判断基準や判断要素についても理解し、判決予測も可能です。

  • 逮捕されるのだろうか
  • いつ逮捕されるのだろうか
  • 何日間拘束されるのだろうか
  • 会社を解雇されるのだろうか
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上記のような悩みをお持ちの方は、ぜひご相談ください。

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刑事事件は初動の72時間が重要です。そのため、当事務所では24時間受付のご相談窓口を設置しています。逮捕されると、72時間以内に検察官が勾留(逮捕後に更に被疑者の身体拘束を継続すること)を裁判所に請求するか釈放しなければなりません。弁護士へ依頼することで釈放される可能性が高まります。また、緊急接見にも対応しています。迅速な弁護活動が最大の特色です。

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