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刑事判例紹介(100) – 前訴の確定判決の効力がいかなる範囲で及ぶか、という一事不再理効の範囲が問題となった事案

前訴の確定判決の効力がいかなる範囲で及ぶか、という一事不再理効の範囲が問題となった事案

被告人は合計22件に及ぶ単純窃盗または建造物侵入・単純窃盗の罪で起訴された。弁護人は、本件各犯行は、常習特殊窃盗罪に該当するものであるところ、被告人はすでに、本件起訴前に犯した別件の建造物侵入・単純窃盗罪により有罪判決を受け同判決は確定しているのであるから、本件各犯行は、一罪の一部について確定判決があることになるから免訴とすべきと主張した。

判旨(最高裁平成15年判決)

思うに、訴因制度を採用した現行刑訴法の下においては、少なくとも第一次的には訴因が審判の対象であると解されること、犯罪の証明なしとする無罪の確定判決も一事不再理効を有することに加え、前記のような常習特殊窃盗罪の性質や一罪を構成する行為の一部起訴も適法になし得ることなどにかんがみると、前記の訴因と後訴の訴因との間の公訴事実の単一性についての判断は、基本的には、全訴及び後訴の各訴因のみを基準としてこれらを比較対照することにより行うのが相当である。

コメント

一事不再理効の根拠は二重の危険の防止(憲法39条)にあります。そして、審判の対象は訴因であり、公判手続において公訴事実の同一性の範囲で訴因変更が許され(刑訴法312条)その範囲で有罪とされる危険が生じるため、一事不再理効の効力が及ぶ範囲は公訴事実の同一性の範囲とされています。本件では、前訴及び後訴の訴因が共に単純窃盗罪であって、両訴因を通じて常習性の発露という面は全く訴因として訴訟手続に上程されていないため、前訴の一事不再理効は後訴には及ばないとされました。

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