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刑事判例紹介(51)

事案

複数の窃盗罪などで起訴された被告人について、うち1件の窃盗事件が嫌がらせ目的である可能性が生じたため、検察官はこの窃盗の訴因につき、親告罪である器物損壊罪の訴因を予備的に追加した。器物損壊罪の訴因については、公訴提起時に告訴がなく、予備的訴因の追加の段階においてはじめて告訴がなされた点についての違法性が問題となった。

判旨(東京地裁昭和58年判決)

…非親告罪として起訴された後にこれが親告罪と判明した場合について起訴の時点では告訴がなかった点をどう考えるべきかについて付言するに…本件のように、訴訟の進展に伴い訴因変更の手続等によって親告罪として審判すべき事態に至ったときは、その時点で初めて告訴が必要となったにすぎないでのあるから、現行法下の訴因制度の下では、右時点において有効な告訴があれば訴訟条件の具備につきなんら問題はなく実体裁判をすることができると解する。

コメント

告訴は親告罪の訴訟要件であり、告訴を欠く公訴提起・維持は不適法かつ無効なものとして、判決で公訴棄却となります(刑訴338条4項)。本件は、当初は非親告罪であった訴因について、公訴提起後に親告罪であることが判明した場合に、親告罪の告訴及び訴因変更があれば適法に実体裁判をすることができると判示しました。もっとも、当初の非親告罪の訴因による起訴が捜査機関側の権限濫用と評価できるような場合等には公訴棄却をなすべきであり、訴因の変更も無限定に許されるものではないと考えられています。

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