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刑事判例紹介(6)

事案

警察から任意同行を求められた被疑者が、警察署に到着した午前8時ころから翌日午前零時ころまで断続的に取調べを受け、取調室内及び所用のための退出時には常に立会人等が被疑者を看視したという事案において、本件取調は手続に重大な違法があるとして勾留請求が却下されたのに対し、検察官から準抗告申立がなされた。

判旨(富山地裁昭和54年判決)

(午前8時ころから午前零時ころまでの長時間かつ断続的な)事実上の看視付きの長時間の深夜にまで及ぶ取調は、仮に被疑者から帰宅ないし退室について明示の申出がなされなかったとしても、任意の取調であるとする他の特段の事情の認められない限り、任意の取調とは認められないものというべきである。従って、本件においては、少なくとも夕食時である午後7時以降の取調は実質的には逮捕状によらない違法な逮捕であったというほかはない。

コメント

任意同行に引き続く任意取調べの適法性について、犯罪捜査規範168条3項は、やむを得ない理由がある場合のほか、深夜または長時間にわたる取調べは避けなければならない旨定めています。本決定は、取調べの時間について「長時間の深夜にまで及ぶ」点を重視して、本件の取調べは、実質的に逮捕状によらない逮捕であり、重大な違法があると判断しています。

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