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刑事判例紹介(75)

事案

被告人であるXは本件被疑事実を一貫して否認していたが、捜査官の一人がXに対し、「今の発達した科学では、人間の分泌物から、その細かく枝分かれした血液型を知ることができ、指紋と同様、同じ分泌物の人間は、1億人に1人しかいないが、本件のデッキシューズの分泌物がお前のと一致した」趣旨のことを述べた。これを聞いたXは、被疑事実を認める自白をしてしまった。

判旨(東京地裁昭和62年判決)

被告人に対し前記のような強い心理的強制を与える性質の分泌物検出云々のあざとい虚言を述べて自白を引き出した点のみで既に許されざる偽計を用いたものとして、その影響下になされた被告人の自白調書等はすべて任意性を肯定できないと解すべきところ、加えるに、その余の記述の苛烈な取調べ方法をも併せ考えると、とうていその任意性などはこれを認めることはできない。

コメント

刑訴法319条1項が自白の証拠能力を否定する根拠は、偽計等が相手方の心理に影響を与え、その影響にかんがみると類型的に虚偽の自白を誘発するおそれがあるためです。そのため、偽計が用いられたからといって常に自白の証拠能力が否定されるわけではありません。本件の警察官の偽計は、虚偽の自白をしてしまうほど強い心理的影響を与えるものであるため自白の任意性を肯定できないとして、自白の証拠能力は否定されました。

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