事案
申立人はインターネット上の動画サイトを運営する者である。そのサイトのユーザーであるAが、女性との性交場面を有料で配信した行為についての公然わいせつ事件につき、申立人がAに対する損害賠償請求を行うために、記録閲覧を申し出たが、検察官が閲覧申出不許可処分をした。さらに処分に対する準抗告が棄却決定されたため、抗告人が特別抗告した事案。
判旨(最判 平成27年10月27日)
刑事確定訴訟記録法4条1項ただし書、刑事訴訟法53条1項ただし書にいう「検察庁の事務に支障のあるとき」には、保管記録を請求者に閲覧させることによって、その保管記録に係る事件と関連する他の事件の捜査や公判に不当な影響を及ぼすおそれがある場合が含まれるとする原決定の解釈は、正当である。
コメント
本判決は、憲法21条、82条が記録の閲覧を権利として要求できることまでを認めたものではないという先例を維持しました。そのうえで、学説上争いのあった、刑事確定訴訟記録法4条1項ただし書、刑事訴訟法53条1項ただし書にいう「検察庁の事務に支障のあるとき」の解釈について、関連する他の事件の捜査、公判に不当な影響を与える場合を含むという、職権判断を示し、初めて最高裁が立場を明らかにしました。
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