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最新判例平成27年5月25日

事案

被告人が、自宅に隣接する2軒の住人7人を刺殺、1人に重症を負わせ、さらに母親が現住する自宅に放火して全焼させたという事案。被告人の犯行当時の責任能力についての事実誤認(411条3号)があるとして、原判決の破棄が求められた。

判旨(最判 平成27年5月25日)

本件犯行は、長年にわたって被害者意識を感じていた被告人が、(中略)被害者らに対する怒りを募らせ、殺意を抱くにまで至り、犯行前夜の自宅北側に居住する別の隣人との口論をきっかけに、この際被害者らの殺害を実行に移そうと決断し、おおむね数年来の計画どおりに遂行したものであって、その行動は、合目的的で首尾一貫しており、犯行の動機も、現実の出来事に起因した了解可能なものである。被告人が犯行当時爆発的な興奮状態にあったことをうかがわせる事情も存しない。被告人は、妄想性障害のために、被害者意識を過度に抱き、怨念を強くしたとはいえようが、同障害が本件犯行に与えた影響はその限度にとどまる上、被告人の妄想の内容は、現実の出来事に基礎を置いて生起したものと考えれば十分に理解可能で、これにより被害者意識や怨念が強化されたとしても、その一事をもって、判断能力の減退を認めるのは、相当とはいえない。

コメント

刑事責任を問うためには、犯行当時に判断能力を有していたことが必要になります。本件被告人は妄想性障害を有していたため、その判断能力が低下していたのではないかと争われました。裁判所は、その障害は犯行の動機を強めたに過ぎず、動機も犯行も判断能力の低下から発生したとはいえないと判断し、刑事責任を問うべきとしました。

また、判断能力の有無を検討するにあたって鑑定書が提出されることがあります。原判決は、提出された鑑定書と異なる結論に至りました。刑事責任を負わせるための判断能力は法的評価であるため、鑑定医と異なる結論を出しても問題ないとされています。

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