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最新判例平成27年9月15日

事案

会員制リゾートクラブであるB倶楽部の会員権販売等を組織的に行っていた株式会社Aの実質オーナーとして業務全般を統括掌理していた被告人は、Aの従業員や役員らと共謀の上、真実はAが大幅な債務超過により施設利用預託金の5年後の返還及び付与された宿泊ポイントの未利用分の払い戻しに応じる意思も能力もないのに、B倶楽部の施設利用預託金及び施設利用料の名目で、多数の被害者から約4億円の金員の交付又は振込入金を受けるとともに、約1億5千万円の返還の履行期限の延期を受けた。

組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織的犯罪収益法」という。)3条1項9号違反の罪(以下「組織的詐欺罪」という。)の成否が問題となった事案。

判旨(最判 平成27年9月15日)

被告人はもとより、…Aの主要な構成員にあっては、遅くとも平成21年9月上旬の時点で、Aが実質的な破綻状態にあり、集めた預託金等を返還する能力がないことを認識したにもかかわらず、それ以降も…組織による営業活動として、B倶楽部の施設利用預託金及び施設利用料の名目で金銭を集める行為を継続したというのである。上記時点以降、上記営業活動は、客観的にはすべて「人を欺いて財物を交付」させる行為に当たることとなるから、そのような行為を実行することを目的として成り立っている上記組織は、「詐欺罪に当たる行為を実行するための組織」に当たることになったというべきである。

コメント

本件は、組織的犯罪収益法の組織的詐欺罪の成否が問題となり、「団体の活動」として、「当該罪(ここでは詐欺罪)に当たる行為を実行するための組織」により行われたといえるかが争点でした。

最高裁は、「団体」とは共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織によって反復して行われるものをいうとし、Aは「団体」に当たるとしています。そして、施設利用預託金及び施設利用料を集める行為は、Aの意思決定に基づき、その効果や利益がAに帰属することから、Aという「団体の活動」に当たると認定しています。そのうえで、判旨のように述べ、Aは「詐欺罪に当たる行為を実行するための組織」に当たるとも認定しています。

なお、元々はAが詐欺罪に当たる行為を実行するための組織ではなかった事実や、組織内に詐欺行為に加担している認識のない営業員や電話勧誘員がいたという事実があっても、上記の結論は変わらないと判示していることもポイントです。

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