事案
被告人が民家に侵入し、金品を奪取するとともに、家人をナイフで殺害した事案。第1審、原審が死刑としたところ、死刑制度が憲法31条、36条に反するとして上告。
判旨(最判 平成28年3月8日)
死刑制度が憲法31条、36条に違反しないことは最高裁判所の判例(最判昭和23年3月12日刑集2巻3号191頁、最判昭和30年4月6日刑集9巻4号663頁、最判昭和36年7月19日刑集15巻7号1106頁)とするところであり、憲法違反の主張には理由がない。
コメント
従来、死刑制度が適正手続に関する憲法31条、残虐な刑罰を禁ずる憲法36条に違反するか否かについて議論がされてきました(上記三判例参照)。
上記昭和23年判決は、憲法31条との関係では、「憲法は現代多數の文化国家におけるのと同様に、刑罰として死刑の存置を想定し、これを是認したものと解すべきである」とし、また、憲法36条との関係では、「刑罰としての死刑そのものが、一般に直ちに同條にいわゆる残虐な刑罰に該當するとは考えられない」として、死刑制度が憲法に違反しないことを認めており、本判決もこの立場を維持するものであると評価できます。
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