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最新判例平成28年6月13日

事案

被告人が交際相手を自分のもとに連れ戻したいという思いで、①交際相手Aが両親と暮らしている家をAの両親がいることを知った上で全焼させて、両親を焼死させた事件を起こした。加えて、②交際相手Bの住所をBの母親に尋ねたが教えてもらえなかったことを恨み、母親を殺害。その犯行を隠滅するためにBの家を放火し、全焼させるという事件を起こした。

上記①②につき、現住建造物等放火を2件、殺人既遂罪を2件、住居侵入罪、逮捕監禁罪、ストーカー行為を行った被告人に対して、1審及び原審ともに死刑判決が出された。
それに対して、死刑制度が憲法31条(法定の手続の保障)・36条(拷問及び残虐刑の禁止)に違反すると主張して上告がなされた事案。

判旨(最判 平成28年6月13日)

死刑制度が憲法のこれらの規定に違反しないことは当裁判所の判例とするところであるから、理由がない。
付言すると……いずれも交際相手を連れ戻したいという思いから出発して重大犯罪を重ねた身勝手極まりない人命軽視の態度を示すものといえ、各犯行とも強い非難を免れない。

殺人事件のうちの1つ(上記①事件)が未必の故意が認められるにとどまること、被告人が反省の態度を示していることなど、被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても、その刑事責任は極めて重大というほかなく……死刑の科刑は、当裁判所もこれを是認せざるを得ない。

コメント

従来から、死刑制度が憲法31条・36条違反か否かは議論されてきました。
本判決で引用されている昭和23年の判決では死刑制度について、以下のように示されています。
「火あぶり、はりつけ、さらし首、釜ゆで等、死刑の執行の方法等がその時代と環境において人道上の見地から一般に残虐性を有するものと認められる場合には、憲法に違反するが、刑罰の死刑そのものが、一般に直ちに残虐な刑罰に該当するとは考えられない。」
この判決以降も死刑制度の憲法違反について争われてきましたが、裁判所は意見を変えることなく、死刑制度は合憲であるとしています。

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