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盗撮の判例 – 刑事事件に強い弁護士

川崎簡判平成14年5月28日

被告人は、走行中の電車内において、乗客V(当時23歳)に対し、その臀部左側をスカートの上から右手でなで、スカートのスリットから右手を入れてその大腿部をなでた、とされた事案。

証拠上のポイント

本件犯行の被害状況や目撃状況を述べ、被告人を犯人として特定するV、E巡査長、F警部補の証言の信用性について、Vらの証言には食い違いや不自然な点が見られるなどといった弁護側の主要な指摘を吟味し、更に弁護側再現ビデオ映像による反証も検討したが、Vらの証言の信用性は十分に認められたとし、罰金5万円を言い渡した。

神戸地判平成19年1月19日

被告人は、地下2階から地下1階に通じる上りエスカレーター上において、カメラレンズ部を上向きにして動画撮影状態にした動画撮影機能付携帯電話機を口の開いた手提げかばん内に入れた上、同エスカレーターを利用して上昇中のV(当時23歳)に対して、その後方からスカート裾下に同手提げかばんを差し入れてそのスカート内を撮影した、とされた事案。

証拠上のポイント

起訴状公訴事実第2記載にかかる事実につき、デジタルカメラ機能付携帯電話機を使って盗撮したという点に関する直接的な証拠は、目撃者とされるDの供述のみであるところ、Dが当時目撃したと証言する本件電話機のランプないしそれが映ったとされる光の状況は、本件電話機の静止画像撮影動作時に見られる発光状況と整合しないなどといった事情から、Dの供述を採用することはできないとして、上記盗撮行為のみを有罪と認定した。

旭川簡判平成19年3月9日

被告人は、正当な理由がないのに、A店1階の出入口付近から女性靴売場にかけて、女性(当時27歳)に対し、その後を付けねらい、その背後の至近距離から、右手に所持していたデジタルカメラ機能付の携帯電話を自己の腰部付近まで下げて、上記カメラで同人の臀部をねらうなどの卑わいな言動をした上、約11回にわたり、上記カメラで被服に覆われた同人の臀部等を撮影した、とされた事案。

証拠上のポイント

衣服等に覆われた身体をそのままの状態で撮影する行為を処罰の対象とした場合、撮影行為のうち、人に著しく性的しゅう恥心を抱かせ、又は不安を覚えさせ、かつ、その程度が社会通念上、容認できないと認められる場合とそうでない場合との区別があいまいでかつ困難となり、処罰対象が広範囲となるおそれがあり相当でなく、本件条項が類型的に顕著な事例を特に禁止する事項として定めた趣旨にそぐわないから、本件条項2号は、衣服等で覆われているその内側の身体や下着をのぞき見たり、盗撮するという、のぞき見や盗撮行為の顕著な場合だけを対象にしたものと解するのが相当であると判示し、衣服の上から被害者を撮影した本件は構成要件に該当しない等と判示し、被告人を無罪とした。

札幌高判平成19年9月25日

上記(旭川簡判平成19年3月9日)事件に同じ。

証拠上のポイント

本件撮影行為は、被告人が、被害者の臀部をねらってその後を付けねらい、その背後の至近距離から臀部等を約11回にわたり撮影したものであり、それが条例2条の2第1項4号にいう卑わいな言動に当たることは明らかであるとして、被告人が被害者の臀部をねらって撮影した事実を認定せず無罪を言い渡した原判決を破棄し、被告人を罰金30万円に処した。

最三決平成20年11月10日

上記(旭川簡判平成19年3月9日)事件に同じ。

証拠上のポイント

本件撮影行為は、被害者がこれに気付いておらず、被害者の着用したズボンの上からされたものであったとしても、社会通念上、性的道義観念に反する下品でみだらな動作であることは明らかであり、これを知ったときに被害者をしゅう恥させ、不安を覚えさせるものといえるから、公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例10条1項、2条の2第1項4号に当たるとし、上告を棄却した。

東京高判平成22年1月26日

被告人は、上りエスカレーター上において、V(当時26歳)に対し、そのスカート内を撮影する目的で、持っていたカメラ機能付き携帯電話機を同人の後方からスカート下方に差し入れた、とされた事案。

証拠上のポイント

被害女性の供述によって被告人が携帯電話機を盗撮する目的で同人のスカートの中に差し入れたと推認するには疑問が残り、また原判決が原判示の事実を認定する根拠とした被告人の捜査段階の自白についてはいずれも疑問があるとして、原判決を破棄し、被告人に無罪を言い渡した。

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