中村国際刑事法律事務所 | 刑事事件の実力派弁護士集団 中村国際刑事法律事務所
お急ぎの方へ メニュー

サマーアソシエイト参加者感想文(模擬裁判感想文)G.Fさん(2016年)(神大ロー在学)

サマーアソシエイト 参加者感想文(模擬裁判感想文) G.Fさん(2016年)(神大ロー在学)

模擬裁判全体を通しての感想

私はこの合宿の模擬裁判で証人の役を拝命し、記録等を検討することができず、外から模擬裁判を見る機会がほとんどであったため、まずは外から見た模擬裁判全体についての感想を記載したいと思います。私が今回の模擬裁判を拝聴している中で、特に考えさせられたことは、「異議を出すタイミングの重要性」です。学校での模擬裁判などでは、(神戸ローだけかもしれませんが)異議を出すことなどはほとんどなく、弁護士として客員で来られている先生方の中にも、「実務上はあまり意義を出すことなどない」というようなことを話されていた先生がいたので、規則は名ばかりの規定だと考えていました。しかし、この模擬裁判を拝聴させていただいた際には、検察・弁護役のどの先生方も異議を述べられるときはしっかりと述べられ、かつその異議も単に法律上の用語を並べるような抽象的なものではなく、その事案に応じた具体的な意義を述べられており、非常に参考になりましたし、真に刑事事件に取り組もうとすると、このような姿勢こそが重要なのだと感じました。
また、中村先生がご配慮していただいたことによって、最後裁判員の評議で意見を設けていただきましたので、次はその件について触れさせていただきます。まず、裁判長の先生が非常に周りに配慮した訴訟指揮を執っていらっしゃったのが印象的でした。模擬裁判中も左陪席・右陪席役のアソシエイトだけでなく、裁判員の方にも積極的に意見を出すように促されていたのが印象的でした。評議の際には、最初に争点を明確にされ、どの限度で争点と直接関係のない証言や証拠が意味を持ってくるのか、といったことを中心として議論をしておられたため、ぶれずに議論をすることが出来ていました。また、私は1日目の夜に先生が左陪席・右陪席と事案の話をしている時に、勉強をさせていただくため横で一緒に議論を聞かせていただいていたのですが、その際にもご自身の発言は最後にされ、全ての人が議論に参加できるようにご配慮されているところが印象的でした。
さらに、私は今年の夏に京都で開催された「刑事法ローヤー・サマープログラム」に参加させていただき、その際に中村先生は「反対尋問では予想できない質問を聞かないことが重要である」旨を仰っておられ、(中村先生や岩崎先生は公表の際に未熟であると指摘されておられましたが)この模擬裁判はそれが現れていたように思いました。私は模擬裁判において、検察側証人として証言しましたが、柴﨑先生が尋ねることにはほとんど(私の手持ち資料がなかったことが原因で一部予想外のことを聞いているように感じられたかもしれませんが)迷うことなく答えることが出来ましたし、もう一人の証人役のK.Aも同様のことをいっていたので、そういったことが事務所全体として周知されていることにこの事務所の凄さを感じました。

実際の記録を読んでの感想について

次に実際の記録を実際の事件記録を読んだ結果感じたことについて記載させていただきたいと思います。まず、模擬裁判では不作為の非現住建造物等放火を予備的訴因として提出した検察の請求が遅すぎるとして審理されませんでしたが、実際の記録を見ると作為ではなく、不作為として公訴事実を認定していたところが印象的で、実際の記録を読んで、不作為となった主な理由は中村先生による被告人質問にあると思いました。特に、供述調書の信用性について争われていた本件において、(表現が難しいのですが)調書の全体をダラダラと争われるのではなく、第2回の公判調書の8~10ページ等のように、問題となる争点を絞り、その点について重点的に争われているのが、非常に印象的でした。また、このようにポイントと考える争点のみを的確に争うことが、裁判官の思考の流れをスムーズにし、後から判断するに際して、印象に残ることになり、弁護人として活動していくためには不可欠だと感じました。
また、中村先生が起案された弁論についても拝見させていただいたのですが、この点も非常に勉強になりました。本件のように被告人が犯行自体を否定しているわけではないものの、構成要件該当性の一部分を否定したりする場合には、「どうしてその行為をすることになるのか」という動機から記載し、(被告人が捜査段階で不利な供述をしている場合には)当該供述はが「どのような点で信用性が低いといえるのか」
といったことを具体的に記載されていたところが非常に印象的でした。さらに、情状弁護では、当該事案の特徴を捉えられたうえで、問題(争点)となっている事実に該当しないことが

なぜ

情状に影響するのか、といったことを厚く論じておられるところが印象的でした。私は、このサマー・アソシエイト期間中、非常に多くの起案をさせていただきましたが、このような起案ができるようになるためには、量は勿論のこと、それに加えて記録を精査し、争点とそうではないところを明確にすることが非常に重要になってくると感じました。

今後について

今回の模擬裁判で非常に良い経験をさせていただいたので、これを今後の学校での模擬裁判や司法試験に合格した後の研修所での模擬裁判などに生かしていきたいと思いました。しかし、証人役として裁判に参加したため、主体的に役に取り組むことができず、その点が非常に心残りでしたので、もし機会があれば来年参加させていただき、今回の模擬裁判で先生方が注意されていたことに注意して、より主体的に模擬裁判に取り組みたいと思いました。
また、上記のように模擬裁判の事件記録を拝読させていただくと、「

なぜ

これが量刑や情状に影響するのか」といったこと、が厳格に書かれていることが多く、模擬裁判を通じても、この点が非常に重要であると感じました。
貴重なご機会を設けていただきましてありがとうございました。

Interview

インタビュー

Recruit

採用情報

このページをシェア