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サマーアソシエイト参加者感想文H.Kさん(2015年)(一橋学部卒)

サマーアソシエイト 参加者感想文 H.Kさん(2015年)(一橋学部卒)

2週間のサマーアソシエイトプログラムは本当にあっという間で、緊張しながら事務所に伺ったのが2週間以上も前だなんて信じられません。
1つ目のアサインは詐欺被告事件における反対尋問事項の検討で、1週目はこのアサインに多くの時間をかけることになりました。まず、事件の記録がファイル10冊分ほどあり、その多さ、重さに圧倒されました。初日は記録を読んで事案を把握することに努めてください、と言われたので記録を読むことに徹しましたが、読み込むべき部分とそうでない部分を意識せずに読んでいったので、読んだ後もあまり頭に事案が残っておらず、今思うと時間を無駄にしていたように思います。2日目からは具体的に尋問事項の検討に入りましたが、中村先生からの指示は「尋問事項のメモを作ってください」ということのみだったので、具体的にどのような事項をきけば反対尋問として意味があるのかが分からない状態でした。先生に何度もアドバイスをいただき、初めは全く見当違いの尋問内容ばかりだった尋問事項メモも最終的にはなんとか形にすることができました。しかし、中村先生が添削してくださったファイルには反対尋問のほとんどの項目に「このことをきいても効果はありません」とのコメントが入っており、自分の未熟さを痛感しました。
このアサインでは、反対尋問で何をきくべきかといった実務的視点も学ぶことができましたが、分からないことは自分から質問すること、質問する際は自分がどう考えているか、何が分からないのかをはっきり伝えること、といった、将来実務に出て仕事をしていく際の基本を学べたことが自分の中でためになったと思っています。
そして、翌週、実際に反対尋問が行われ、私たちも傍聴しました。その事件は故意の有無を争う事件でしたが、中村先生は雑談のような質問を交えながら、証人の心をつかみ、最終的にこちら側の望む答えをどんどん引き出していきました。私は、この尋問を拝見していて、学校を卒業したばかりの寿司店の見習いが、寿司職人のにぎりを見ているような気持ちになりました。すごい技術だと心の底から感じてはいるものの、どのようにすれば先生のようにできるかが分からず、技術を盗みようがないのです。先生は「まずは相手の心を掴むこと」とおっしゃっていましたが、その一言で説明できるほど簡単な技術であるはずがありません。先生のような尋問を行うことが自分の中での大きな目標になりました。
反対尋問のアサインと同時並行で認め事件の弁論要旨を2つ起案補助させていただきました。書式集に収められている先生方の起案を読むと、どの起案も過不足なく主張が書かれています。弁論要旨では文章を長く書いたほうが裁判官の心をうてると思っていましたが、それでは一番伝えたいことが何か分からなくなってしまいます。書かなければならないことをできる限り短く書くことこそ、説得力のある文章だと感じました。
また、このうちの片方の事件については、実際に依頼者の方との打ち合わせに同席させていただきました。同席していると、依頼者の方が自分の行ったことを反省している姿や、弁護士の先生との間に強固の信頼関係が築かれていることなどを目の当たりにすることができ、自分が関わったのはほんの一部ですが、刑事弁護人のやりがいを肌で感じることができました。
そのほかにも法律相談電話対応、模擬接見(英語模擬接見を含む)、裁判傍聴(被害者の意見陳述)と、NICDで先生方が日頃なされている活動を経験・体験させていただきました。このような体験ができるのはNICDのサマーアソシエイトならではだと思います。
1週目の金曜日には中村先生から大きな案件のアサインをいただき、土日は1つ目のアサインのときの倍以上ある記録の読み込みに終始していました。この事件の概要を伺ったとき、この事件のスケールの大きさにとても驚きました。このアサインは、初め、ある部分について「矛盾点を突いてください」との指示を受けたので、矛盾点を探したのですが、なかなか見つかりませんでした。翌週の月曜日と火曜日の2日間で、矛盾となりそうなところを見つけては合議をして、突いても意味のない些末な点であるという結論が出る、ということを繰り返しました。結果的に、そもそも矛盾は存在しないことが後に分かり、このアサインは中止となりましたが、実際の事件を自分が主任弁護人として担当した場合、「論点はここですよ」と誰かが教えてくれることはないので、記録を読んで攻撃対象をひねり出す、というとても重要な体験ができたと思っています。
弁護士の先生方の日常生活を垣間見たり、疑似体験できたこともとてもよかったです。1週目は、アソシエイトの先生の隣に、先生方と同じ設備の机を用意していただきました。先生が電話対応をしている声も、スタッフの方や先生同士で話している会話も聞こえてきます。不起訴となり先生が喜んでいらっしゃる姿、不当な決定が出て悔しがっていらっしゃる姿、電話で少年に優しく語りかける姿、少々強めの言葉で依頼者を諭す姿など、様々な場面を隣で見させていただきました。また、会話の中で気になる点があったときは、隣にいらっしゃる先生に質問すると、先生方は毎回丁寧に質問に答えてくださり、2週間を通して刑事弁護士のよい点やつらい点を含め、様々なお話を包み隠さず話してくださいました。
また、先生方からアサインをいただいてそれをこなすことで、実際の刑事弁護士と同じように、複数の事件を同時に処理するという体験をすることができました。1週間目の初めのうちは、アサインが少なかったため、1つの案件に集中することができましたが、週の終わりにはアサインが複数になっており、1日の時間を区切って、1つ1つの案件を集中的にこなしていくことが求められました。さらに、2週目の後半は、時間の都合で優先的にこなさなければならないアサインが入り、今まで行っていたアサインを中断して夜遅くまでアサインと格闘するという場面も複数回あり、刑事弁護士には普段から目の前の事件に全力で向き合いながらも、突発的な事件にも対応できる柔軟性、時間管理能力という高度なものが要求されることが分かりました。最終的にアサインの1つを満足にこなすことができないまま終わってしまい、深く反省しています。
2週間でさせていただいた経験はどれも新鮮で興味深く、毎朝NICDに行くのがとても楽しみでした。この2週間で、他では絶対にすることのできないたくさんの貴重な体験と、今後に向けてたくさんの課題を得ることができました。サマーアソシエイトのおかげで司法修習でも目的意識を持って日々の研修に臨むことができると思います。2週間本当にありがとうございました。

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