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サマーアソシエイト参加者感想文K.Yさん(2018年)(京大ロー卒業)

サマーアソシエイト 参加者感想文 K.Yさん(2018年)(京大ロー卒業)

思い起こすと、私は2018年度のNICDサマーアソシエイトの第1タームとして初陣を切りました。私にとって、NICDのサマーアソシエイトは、ロースクール在学期間を通しても、初めてのサマーアソシエイトでした。右も左もわからないままスタートしたサマーアソシエイトの初日から、早速模擬裁判の準備が始まりました。

事件相談の電話から始まり、事件の聴取や、相談を受け、勾留回避を実現するべく全力で取り組みました。
その後、弁護士チームの方へとバトンをつなぎ、定期的に弁護士チームで連絡を取り合いながら、方針をその都度検討し直し、ついに、模擬裁判を迎えました。
そうして我々のサマーアソシエイト期間を通しての集大成とも言える模擬裁判を終えて、私は大きな達成感と気づきを得ることができました。
私は、模擬裁判では、弁護側の冒頭陳述と、反対尋問を担当することになりました。
まず、冒頭陳述では、弁護側の思い描いたケースセオリーを裁判員・裁判官の皆さんに分かってもらえるように工夫してメモや資料を作成しました。その際には中村先生にも一度作成した資料を見ていただいたので、コンパクトで見やすい内容に仕上がったと自負しております。

次に、反対尋問を行いました。私は、目撃者である駅員への反対尋問を担当することとなったため、①犯行そのものを目撃してはいないこと、②込み合ったホームで、人も沢山いた上、駅員は勤務中で現場を注視していないこと、③犯人をよくは見ていないこと、④電車に乗り込んだ犯人と、被告人の乗車位置が違ったこと、をメインに尋問しようと、その内容を作成し、尋問の練習をしてきました。
しかし、実際にやってみると、犯人・犯行の目撃について、駅員は、想像を遥かに上回って証言が強固で確信を持って話しているようであり、せっかく②についてはうまく尋問できたと思っていたのにもかかわらず、駅員の態度に動揺してしまい、思ったような尋問ができませんでした。その結果、かえって駅員の確信の強さが、裁判官・裁判員に伝わってしまうような尋問を続けてしまいました。
実際、あのあと落ち着いてから考えると、もっとうまい聞きようや、躱し方がいくつも浮かんできて、改めて、自分が咄嗟の機転を利かせられなかったことを反省しました。

以上の2つが、私が担当した模擬裁判での役割でした。しかし、最終弁論については、メンバーみんなで取り組んできたものであり、また、最後に大いに裁判を混乱させてしまったので、私にとって、大変勉強となるものでした。
模擬裁判が始まる当日まで、被告人が犯行を行うことが物理的に不可能であることを、どこで説明するかについてはメンバー同士で議論をしてきました。
なるべく最後まで、検察側には知られたくないなというのは話に出ていたものの、やはり最終弁論で初めて出すというのはどうなのだろうか、という話にもなっていました。
しかし、弁護側で調書を作ったり、23条照会で現場見取り図を入手したりするなど、後から教えていただいてその通りだと実感するばかりですが、当時の我々では、そこに思い至り、それを準備する力がまだまだ足りていませんでした。

最終的に一部は弁論が採用されず、これがもしすべて採用されないようなことが、しかも実際の裁判で起きてしまったとしたら、と考えて肝を冷やしました。改めて、弁護人の力量次第で、勝てるものも負けてしまうということが起こりうるということを実感しました。
そして、無罪判決の言い渡しの瞬間、私は本当に嬉しく、興奮しました。たかが模擬裁判なのかもしれませんが、ロースクールでの公判準備から始まる模擬裁判とは違って、事件相談から取り組み、チームのみんなで準備してきたNICDの模擬裁判であるだけに、結果が報われたのはそれまでの模擬裁判とは比較にならないほどうれしかったです。

その後の中村先生による講評も、大変勉強させていただきました。
特に、私自身が担当し、失敗した、駅員への反対尋問の再現には、感動しました。巧みな誘導、声の強弱、相手の感情の制御、漂う余裕・風格等々、これが「本物」なのだと思うと同時に、自分との途方もない差に、私がこの域に達することなどできるのだろうか、と自虐的に思ったりもしました。

改めて、今回私をNICDのサマーアソシエイトとして採用して頂き、本当にありがとうございました。この経験がなければ、刑事弁護というキャリアについてこれほど深く考えることも、またその面白さ、奥の深さについて知ることもありませんでした。
今回の経験を通して、私は中村先生のような優れた刑事弁護人になりたいという思いを抱き、また、実際に自身を大きく成長させることができたと思っています。
もちろん、まだまだ途上であり、スタートラインにも立ててはいませんが、いつの日か、中村先生のように、誰かの心を動かせるような、魅力のある弁護人になりたいと思います。
本当に、ありがとうございました。そして、ご迷惑でなければこれからも、ご指導の程よろしくお願いいたします。

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