審理手続きと判決の種類

審理手続

申立てによって控訴理由があると認められれば、控訴審での審理に入ります。 控訴審での審理手続については、基本的に第1審と同様ですが(404条)、いくつかの特則があります。たとえば、弁護士以外の者を弁護人に選任することはできません(387条)。

控訴審の裁判

控訴審での審理が終わると、控訴審裁判所が判決や決定といった裁判をします。 ここでは、控訴審裁判所が裁判をする際に妥当する「不利益変更禁止の原則」についてと、そして控訴審裁判所がする裁判の種類について説明します。

不利益変更禁止の原則(402条)
被告人・その法定代理人・原審弁護人が控訴をした場合、控訴審裁判所は第1審の判決よりも重い刑を科すことができない、という原則のことです。すなわち、この原則によって禁止されるのは、第1審判決より刑を重くすることだけであって、事実認定を被告人に不利に変更することは許されます。 では、刑が重くなったか否かはどのように判断するのでしょうか。たとえば、懲役3年と懲役6年であれば後者の方が重いのは明白ですが、懲役1か月と罰金50万円だと、どちらが重いのか判別しにくいです。 これについては、「具体的に全体として総合的に観察し、第2審の判決の刑が第1審の判決の刑よりも実質上被告人に不利益であるか否か」によって判断するとされています(最決39・5・7刑集18-4-136)。要は、刑の種類や執行猶予の有無等といった様々な事情を考慮して、全体的に判断するということです。一応の基準として、刑法10条が用いられます。

*刑法10条 第1項
「主刑の軽重は、前条に規定する順序による。ただし、無期の禁錮と有期の懲役とでは禁錮を重い刑とし、有期の禁錮の長期が有期の懲役の長期の二倍を超えるときも、禁錮を重い刑とする。 」
第2項
「同種の刑は、長期の長いもの又は多額の多いものを重い刑とし、長期又は多額が同じであるときは、短期の長いもの又は寡額の多いものを重い刑とする。」
第3項
「二個以上の死刑又は長期若しくは多額及び短期若しくは寡額が同じである同種の刑は、犯情によってその軽重を定める。」
 なお、刑が重くなっても執行猶予がつく場合には、不利益変更にはあたりません(最決昭和55・12・4刑集34-7-499)。

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判決の種類

控訴審の裁判には、控訴棄却決定、控訴棄却判決、破棄判決があり、破棄判決の場合は、差戻し、移送、自判の場合があります。

 A 控訴棄却決定
控訴棄却決定がされるのは、以下のⅰⅱの場合です。
ⅰ 控訴申立てに不備がある場合(385条)
―控訴申立てが方式に違反し、または控訴権消滅後にされたことが明らかな場合
ⅱ 控訴趣意書に不備がある場合(386条)
―控訴趣意書が期間内に提出されない、控訴趣意書に方式違反がある、控訴趣意書に必要な疎明資料・保証書の添付がない控訴趣意書に記載された控訴申立理由が明らかに法定の事由に該当しないとき

B 控訴棄却判決
控訴棄却判決がされるのは、控訴申立てが不適法な場合と(395条)、法定の控訴理由がない場合(396条)です。

C 破棄判決
法定の控訴理由がある場合、第1審を破棄する旨の判決がなされます(397条1項)。第1審判決が破棄されると、事件は、第1審判決言渡しの前の状態で控訴審裁判所に存在することになるので、なんらかの措置をとらなければなりません。ここで採られる措置は、差戻し・移送・自判の3種類です。
・差戻し
第1審裁判所にもう一度審理させることです。
・移送
第1審裁判所と同等の他の裁判所に審理させることです。
・自判
控訴審裁判所が自ら審理することです。もっとも、控訴審は覆審※ではないので、破棄されなかった部分については第1審裁判所の認定が維持されることになります。また、第1審で証拠とされたものについても、新たな証拠調べを行うことなく、認定の基礎とすることができます(394条)。
※覆審
第1審判決と無関係に、事件について新たに審判をやり直す方式のこと。

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