控訴の要件(控訴理由)

控訴の要件(控訴理由)

控訴は、原判決の誤りに対する不服申立手続ですから、原判決に誤りがあること、すなわち「控訴理由」を主張しなければなりません。どのような事由が控訴理由になるかについては、刑事訴訟法が以下のA~Fを規定しています。 なお、A~F以外の事由による控訴は認められません(制限列挙。384条)。

刑事訴訟法における控訴理由

A 絶対的控訴理由としての訴訟手続の法令違反(377条、378条)
法令違反の程度が強いことから、その違反が判決の結果にどのように影響したかを問わず、控訴理由となるものです(絶対的控訴理由)。

具体的には、以下の7つの場合が規定されています(377条1号~3号、378条1号~4号)。
ⅰ 法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと
ⅱ 法令により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと
ⅲ 審判の公開に関する規定に違反したこと
ⅳ 不法に管轄または管轄違いを認めたこと
ⅴ 不法に公訴を受理し、またはこれを棄却したこと
ⅵ 「審判の請求を受けた事件」について判決せず、または「審判の請求を受けない事件」について判決したこと
ⅶ 判決に理由を附せず、または理由に口外があること

B 相対的控訴理由としての訴訟手続の法令違反(379条)
  訴訟手続に法令違反があっても、絶対的控訴理由に当たらない場合には、その「違反が判決に影響を及ぼすことが明らかな場合」にのみ、控訴理由になります(379条)。  「違反が判決に影響を及ぼすことが明らか」とは、その法令違反がなければ異なる判決がなされたであろうという蓋然性(高い可能性)がある場合を言います(最大判昭和30・6・22刑集9-8-1189)。

C 事実認定の誤り(382条)
  事実誤認があった場合も、「判決に影響を及ぼすことが明らか」であれば、控訴理由になります。  ここに言う「事実」とは、刑罰権の存否や範囲を基礎づける事実のみを指し、法的に些細な事実は含まれません。  事実誤認と言えるかどうかは、「第1審判決の事実認定が論理則、経験則に照らして不合理であるか」という基準で判断する、という裁判例が出ましたが(最判平成24・2・13判時2145-9)、この基準があらゆるケースに当てはまるかどうかについては議論が分かれています。  なお、即決裁判手続※後述による判決については、事実誤認は控訴理由になりません(403条の2第2項、413条の2)。
※即決裁判手続  当事者間で争いのない軽微な事件について行われる簡易迅速な手続です。被告人が手続の趣旨を理解した上で同意していることが条件になります。

D 法令適用の誤り(380条)
  判決中に、実体法の解釈・適用の誤りがあった場合、それが判決に影響を及ぼすことが明らかな場合には、控訴理由になります。

E 量刑の不当(381条)
処断刑※の範囲内ではあるものの、宣告刑※が不当な場合も、控訴理由になります。
(※「処断刑」「宣告刑」とは
裁判所が判決をする際には 法定刑→処断刑→宣告刑 という過程を経て、被告人の負う刑が決定します。 刑法は、犯罪の種類ごとに刑の幅を定めています。ここで定められているのが「法定刑」です。
Ex.刑法199条
「人を殺した者は、死刑又は無期もしくは5年以上の懲役に処する。」
もっとも、再犯であったり未遂であったり等、法定刑を軽重させる事由についても刑法は定めています。この規定を適用したうえで決定した刑が、「処断刑」です。
Ex.刑法43条
「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。」
Ex. 刑法66条
「犯罪の情状に酌量すべきものがあるときは、その刑を減軽することができる。」
以上によって得られた処断刑の範囲内において、具体的に決定した刑が「宣告刑」となります。

F 再審事由があるとき(383条1号)
確定した判決に対する不服申立方法である「再審」の事由も、控訴理由となります。再審事由がある以上、判決の確定を待たなければ不服申立できないとしては迂遠であることから、このように規定されています。

0120-971-195
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