ニュースに見る痴漢世相

痴漢増加 「地位ある人」がなぜ…

今回は「痴漢増加」に関する記事をご紹介します。

【記事】

強制わいせつなどの性犯罪と同様に痴漢が増えている。大阪府内では今年上半期(1~6月)の摘発件数が前年より7.6%増の185件で、平成20年以降で最多。摘発者の中には小学校長や警察官、自治体職員ら「地位のある人」も少なくない。実名公表や厳しい処分が待ち受けているにもかかわらず、なぜ犯行に及ぶのか。再犯も目立っており、専門家は「『病』だと認識して治療する必要がある」と指摘している。
信頼失い職失う
大阪府警は7月上旬、茨木署地域課の巡査長(38)を停職1カ月の懲戒処分にした。理由は痴漢。巡査長は依願退職した。痴漢は軽微な性犯罪とみられがちだが、女性の心を深く傷つける卑劣な犯罪として、社会的に厳しく断罪される。実名は公表され、警察官なら処分は停職でも依願退職が当たり前。懲戒免職になることもある。府警は摘発を強化しており、22年以降の摘発件数は毎年、前年比約30件増となっている。しかし痴漢は一向に減らず、今年6月10日~7月7日の1カ月間の痴漢発生件数は134件と、依然多くの女性や子供が被害に遭っている。
会社員が半数以上
警察庁が22年に東京や大阪で行った調査によると、電車内の痴漢行為で摘発された219人の半数が会社員。年齢別では30代が74人(33・8%)と最多で、次いで40代の59人(26・9%)だった。犯行場所は「通勤・通学の電車内」が67%。被害者の選定も、「偶然近くにいた」が111人(50・7%)と最も多く、働き盛りの30~40代が、何気ない日常の中で痴漢行為に手を染める実態も浮き彫りになった。
痴漢は「病
痴漢加害者のカウンセリングを行う心理カウンセラーの衣川竜也さん(34)「痴漢は依存症。性欲や性癖では片付けられない『病』だ」と強調する。実際、再犯者も目立つほか、女性になりすましてインターネットのサイトに「痴漢して」と書き込み、別の男に痴漢させたとして和歌山県迷惑防止条例違反容疑で7月9日に逮捕された大阪国税局職員は、過去にも痴漢がらみで処分を受けたことがあった。衣川さんによると、「女性が喜んでいると思った」と勘違いしてカウンセリングに来る加害者は多い。こうした人に共通するのが、他人の気持ちや痛みを忖度(そんたく)する「共感力」の低さだ。「男が聞いても腹が立つほど女性の感情に無関心」という。その一因が「日々のストレス」といわれる。衣川さんは、「ストレスをためすぎると脳がダメージを受けて、理性的な判断を下す前に行動してしまう」と指摘。常習犯になると無自覚に近い状態で犯行に及ぶため、捕まって初めて自分が痴漢をしていたことに気付くケースもある。また、「過保護な生育環境」が影響することも。困ったとき、本人が考える前に親が手を差し伸べてきた人は欲求を我慢することが苦手だからだ。衣川さんは「痴漢は『我慢』では治らない。専門家によるストレスケアや家族の協力といった『治療』が必要」と話している。(2013.8.11 9:41 産経ニュース)

【コメント】
ある犯罪の発生率が増加しているというデータが発表されると,その犯罪を厳罰化しようという方向に議論の矛先は向かいがちです。飲酒運転などの厳罰化が良い例です。被害者感情を重く考慮すると,厳罰化は最良の選択とも思えます。しかし,刑罰の意義は,犯罪者の更生(特別予防)と国民に対する犯罪の抑止(一般予防)です。この観点からみると,必ずしも厳罰化が最良の選択とは言えない犯罪が存在します。痴漢などの性犯罪が典型例です。理性・規範意識で抑えられないのであれば,厳罰化しても意味はありません。「依存症」「病気」として,薬物と同じように専門医による治療・カウンセリングを根気強く行っていくしかないでしょう。しかし,これもまた事後的な施策にしかすぎません。事前に防止する方法はないのでしょうか。記事にあるように,ストレスの溜めすぎや生育環境が原因の一端を担っているならば,問題は根深く,社会的施策によって防止することは難しいかもしれません。痴漢などの犯罪は自分には関係のない世界の話だと思っている多くの国民に,このような情報を周知し,誰もが当事者になりうることを認識させたうえで,各自の家庭教育や日々の生活において注意を促すことが地道な対策と言えそうです。

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