ニュースに見る痴漢世相

痴漢事件で逆転無罪 東京高裁「被害者の話に疑い」

今回は「痴漢事件で逆転無罪」に関する記事をご紹介します。

【記事】

電車内で女子高校生に痴漢をしたとして、神奈川県迷惑行為防止条例違反の罪に問われた男性会社員(38)=横浜市=の控訴審判決で、東京高裁は18日、「高校生の話は変遷しており、信用性に疑いが残る」として、罰金30万円の横浜地裁川崎支部判決を破棄し、無罪を言い渡した。捜査段階の警察と検察の調書には、高校生は「股間や右太ももの内側を、曲げた指先でなでられた」と供述したと記載されていた。一方、1審の公判に出廷した高校生は「手のひらでなでるように触られ、指先は曲げていなかった」と証言していた。1審判決は「捜査段階と公判の供述はおおむね一貫していて、信用できる」として有罪としたが、高裁の河合健司裁判長は「どのように触られたかという被害の核心部分が食い違っており、見過ごせない」と指摘した。(MSN産経ニュース2014.9.18 17:32)

【コメント】
 現在の日本の司法制度の下では,起訴された場合の有罪率は99.9%と言われています。特に痴漢事件では大抵の場合,混み合った電車内で行われるため,参考になる資料が被害者の証言以外にあまり存在せず,無実であることを証明するのが大変難しいです。その上,否認している場合,継続的に拘束されることになるため,多くの場合,無実の罪を認める方向に誘引されやすく,最も冤罪を生み出しやすい犯罪といえます。この点については,2007年に公開され話題を呼んだ周防正行監督『それでもボクはやっていない』を観て知っている方が多いのではないかと思います。
 そんな状況の中,東京高裁で痴漢事件において逆転無罪判決が下されました。無辜の人を含め疑わしき者を常に罰していれば治安維持に効果はあるでしょう。真の犯罪者に対して「無罪はありえない。捕まったら逃れられない。」という印象を植え付けるからです。しかし,冤罪を多く産めば法の尊厳は毀損され,国民は法を信用しなくなり,裁判所を信用しなくなり,国家を信用しなくなります。その結果として治安も乱れます。冤罪を生まないというシステムは,司法の重要な役割だということを忘れてはいけません。
 10人の真犯人を逃すよりも,1人の冤罪者を出さないことが大切です。それが道義国家のあるべき姿です。我が国裁判所は,陪審員制度を採る英米の裁判所に比べ,治安維持に傾いていると言われています。それは「無罪を出し過ぎると出世できない」といったキャリアシステムに原因があるとの論がありますが,これが真実ではないことを祈ります。      

ニュースに見る痴漢世相一覧

秘密厳守・初回電話相談無料 まずはお電話ください

0120-971-195

対応エリア|東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県

メールはこちらへ

  • 代表弁護士中村勉からのご挨拶
  • 取り扱い事例一覧へ
  • 元検事中村勉弁護士の 刑事事件コラム
  • マンガでわかる「逮捕から勾留の流れ」