法律相談Q&A

Q.
(裁判員裁判04)裁判員裁判における性犯罪事件の弁護(刑が重くなりがちなことを受けて,被害者参加制度への対応)

A.

 強制わいせつや強姦などの事件で,被害者が怪我を負ったり,死亡したりした場合には,裁判員裁判となります。このような性犯罪事件に関しては,裁判員裁判の方が量刑が重くなったと言われています。2012年に発表されたデータによれば,強姦致傷の場合,裁判官だけの裁判では5年を超える懲役刑を言い渡した割合が53.8%だったのに対し,裁判員裁判では76.3%,強制わいせつ致傷では,3年を超える懲役刑が裁判官で33.1%,裁判員では45.0%だったというデータが出ています。
 このように,裁判員裁判で性犯罪の刑が重くなっているのは,これまでの裁判官の裁判で性犯罪に対する刑が軽かったという点もあるかとは思いますが,それよりも,被害者参加制度などによって,裁判員が性犯罪被害者の声をダイレクトに聞くことの影響が大きいように思います。

 それでは,性犯罪事件を弁護する弁護人として,被害者参加制度に対しては,どのように対応したらよいでしょうか。
 まず,担当する事件が否認事件であった場合には,被害者が参加していたとしても,主張すべきことはしっかりと主張するという姿勢が重要です。ただ,犯人性を争うような事件では,被害者に被害が出ていること自体は争わないことになりますから,被害者参加人が傷ついていることへの配慮は十分にすべきでしょう。
 次に,担当する事件が情状弁護が中心の自白事件の場合ですが,この場合には,被害者参加人に対して誠実かつ真摯な対応を取ることが重要になります。例えば,弁護側の情状証人に対して,被害者参加人等が尋問をすることができますが,この際に,弁護人が被害者参加人等の尋問に対して異議を連発することになると,裁判員としては,被告人に対して,罪から逃げているような印象を受け,被告人に対する心証が悪い方向に働く可能性があります。そのため,そこまで必要性が高くない場合には,異議を控えることも必要になってくると思います。また,被害者に関する話についても,被害者を侮辱するような内容や被害者の感情を害するような内容については,極力控えた方がいいでしょう。
 裁判員にとっては,被害者=善,被告人=悪という構図はすぐにできやすいので,そうならないように,弁護人は慎重に審理を進めていく必要があります。

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