法律相談Q&A

Q.
(裁判員裁判06)裁判員裁判の改善点(到達点と課題)

A.

 裁判員裁判については,施行されてから5年以上が経過していますが,概ね肯定的な意見が多いように思います。当初は,忙しい国民に重い負担を強いるものであることから,多くの人が裁判員に選任されることを嫌がるのではないかといわれていましたが,実際には,裁判員候補者として最終的に選任手続期日に出頭を求められた人のうち,80.2%もの人が出席していました(平成21年5月から平成23年3月までの統計)。
 実際に,裁判員選任手続期日に行ってみると,多くの候補者の人が出席しています。そして,その中の多くの方が裁判員裁判に参加することに意欲を見せています。たまに,裁判員裁判に参加したくないという人もいますが,親族の介護や出張などのやむを得ない理由によるもので,単純に負担があるので拒否するという人はほとんどいないように思います。

 また,実際の裁判の場においても,裁判員の方々が積極的に裁判に参加している姿が見受けられます。多くの裁判員の方々は,朝から夕方まで長時間続く裁判に集中して臨んでいますし,手元でメモ等を取って,被告人の話を聞いている人もいます。また,証人尋問や被告人質問の際には,裁判員の方々も質問しており,裁判官,検察官,弁護人とも気付かなかったような視点から質問される方もいます。

 このように,裁判員裁判は一定程度成功しているように思いますが,改善点も多くあります。
 まず,裁判員裁判の場合には必ず公判前整理手続が行われますが,この公判前整理手続に要する時間が長くなってしまっているということです。特に,否認事件や追起訴が続く事件では,その期間が1年を越えることもあります。また,裁判員裁判では,スケジュールが厳密に決められているため,これまでの裁判官裁判よりも時間的な制約が大きいように思います。裁判官によっては柔軟に訴訟進行する方もいますが,中には,スケジュールで定めた時間を厳格に適用する方もいます。さらに,裁判員裁判では,主張や証拠を公判前整理手続の段階で絞っていくので,第1審の判決に納得いかず,控訴する場合に,新しい主張をすることができなくなるという側面もあります。
 これらの問題点は,すぐに解決できるものではありませんが,今度改善していかなければならない課題といえるでしょう。

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