法律相談Q&A

Q.
(裁判員裁判08)裁判員裁判における精神鑑定(裁判員裁判における責任能力についての弁護)

A.

 裁判員裁判においては,公判前整理手続が開かれますが,この公判前整理手続段階で,精神鑑定の採用決定等が決められます。そのため,裁判員裁判になる事案において,責任能力を争うためには,公判前整理手続において裁判所に精神鑑定の採用を決定し,そして実施してもらわなければなりません。このような制度設計になっているのは,裁判員裁判においては,公判段階で鑑定の要否を審理することになると,長期間裁判員を拘束することになり,裁判員の負担が大きくなりすぎるからです。

 次に,精神鑑定が採用,実施されたとして,実際の公判でどのような弁護活動をしていくかですが,まず,裁判員選任手続において,心神耗弱による刑の減軽や心神喪失による無罪について否定的な考えを持っている候補者を見極め,不選任とする必要があります。一般市民の感覚として,心神喪失だから無罪というのは受け入れがたい側面もあるでしょうが,その点については,法律の規定にある以上,従ってもらう必要があり,それに納得できない人は,不選任とせざるを得ないでしょう。
 また,責任能力が争点となる場合,裁判員の人達には内容が難解で分かりにくくなりがちです。そのため,弁護人は,出来る限り分かりやすい説明を心がける必要があります。特に,事理弁識能力や行動制御能力などは具体例などを示しながら,説明する必要があると思います。
 さらに,責任能力が争点となる事件では,裁判員の人達が誤解したまま理解していることもありますので,弁護人がその点を正していく必要もあります。例えば,心神喪失で無罪になるという話をした場合に,ほとんどの裁判員は,そのまま危険な被告人が社会に戻ってしまうと考えるでしょう。ただ,実際には,被告人に医療観察法の適用があり,入通院命令が出される可能性も高いので,被告人がそのまま社会復帰することはないでしょう。このような誤解に対して,弁護人は,公判の早い段階で裁判員に説明しなければなりません。

 このように,裁判員裁判においては,通常の裁判官裁判と比較して,弁護人が意識しなければならない点が増えます。ただ,弁護人が過度に裁判員に理解させることを意識しすぎて,精確さに欠ける話をしないように気を付ける必要はあるでしょう。

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