法律相談Q&A

Q.
(裁判員裁判09)裁判員裁判と控訴審(一般事件との相違点,特徴など)

A.

 第1審として,裁判員裁判が行われた場合,公判前整理手続が既に取られていることや裁判員の意見を尊重する必要があることなどから,一般の裁判官裁判とは異なってくるところがあります。
 まず,事実取調べの対象についてですが,これについては,従来の裁判官裁判の解釈と変わらないでしょう。すなわち,控訴理由の調査をするについて必要がある限り,事実の取調べの対象が制限されないということです。
 次に,事実取調べが認められる範囲についてですが,これについては,刑事訴訟法316条の32第1項において,「公判前整理手続又は期日間整理手続に付された事件については,検察官及び被告人又は弁護人は,第298条第1項の規定にかかわらず,やむを得ない事由によって公判前整理手続又は期日間整理手続において請求することができなかつたものを除き,当該公判前整理手続又は期日間整理手続が終わった後には,証拠調べを請求することができない。」と規定されているので,控訴審においても同様に「やむを得ない事由」を判断され,第1審で「やむを得ない事由」が認められずに提出できなかった証拠は,控訴審でも提出できないことになります。そして,裁判員の判断を尊重する観点から,控訴理由としての事実誤認が認められる場合が限定的になっていくでしょう。

 また,控訴理由として,弁護人が訴訟手続の法令違反を主張することがありますが,この主張についても,第1審で裁判員がいることによる影響があります。
 具体的には,①裁判長が刑事訴訟の原則等について裁判員に説示しなかった場合や②裁判官が補充尋問や補充質問等を通して,裁判員に影響を与えるような形で心証を明示するような行為をした場合などは,訴訟手続の法令違反があると考えられます。

 さらに,控訴審の量刑審査についても,従来であれば数か月短縮する程度であっても量刑不当という判断を下していましたが,裁判員裁判による量刑を基本的に尊重しなければならないことから,このような場合には,「原判決を破棄しなければ明らかに正義に反する」とまではいえないという判断に傾く可能性があります。

0120-971-195
82