法律相談Q&A

Q.
(裁判員裁判10)裁判員裁判における否認事件の弁護(一般事件との相違点,特徴など)

A.

 裁判員裁判では,裁判の経験のない市民が事実認定と量刑判断に加わることになりますが,そのことによって,弁護人の弁護活動にも影響を与えます。裁判員裁判では,弁護人も冒頭陳述を行うことになりますが,ここで難しい議論をしても裁判員の方々は全く理解できないでしょう。弁護人は,この冒頭陳述で,何が争われているのか,そして,被告人の主張するストーリーはどのようなものなのかということを示していく必要があります。そして,その際には,裁判員に分かりやすい言葉で説明したり,ボードやパワーポイントなどを使って,被告人の主張をビジュアル化するなどの工夫も必要となってくるでしょう。

 また,裁判員裁判では,連日開廷され,集中して審理が行われることから,弁護人は,公判の中で検察官立証を見ながら弁護方針を立てるということはできません。このことから,弁護人は,捜査段階や公判前の段階で,被告人と念入りに打ち合わせをしておく必要があります。そして,公判前整理手続の段階で,被告人の主張を裏付ける証拠を探すため,検察官に対して,証拠開示を求めていくことになります。弁護人は,証拠開示を受けて,そこで出てきた証拠を吟味し,それと被告人の主張とを組み合わせて,弁護方針を定めていくことになるでしょう。

 このように定めた弁護方針ですが,公判前整理手続の段階で変更することはありうると思います。しかし,公判が始まってからは,変更することは好ましくありません。従来の裁判官裁判では,定期的に行われる公判で,被告人にとって有利な事実をその都度引き出していくことに重みがありましたが,裁判員裁判では,冒頭手続から弁論までの継続した集中審理が行われますので,主張・立証の一貫性がより厳しく問われることになります。
 また,裁判員の方々は,被告人が主張するストーリーに対して,より説得性を求める傾向にあります。弁護人が組み立てた弁護方針に説得性が欠ける場合には,従来の裁判官裁判よりも重い量刑が予想されますので,証拠状況とかけ離れた主張は控えなければなりません。弁護人は,開示された証拠等をしっかりと検討し,裁判員に納得してもらえるストーリーを提示する必要があるでしょう。

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