法律相談Q&A

Q.
(裁判員裁判11)裁判員裁判と情状弁護(裁判員に対し何を主張すべきか)

A.

 裁判員裁判においては,弁護人が一般市民である裁判員を説得する必要があるため,従来の裁判官裁判とは異なる配慮が必要となります。
 まず,多くの裁判員は,法廷にいる被告人を絶対悪だと思いやすいため,裁判員には,被告人に共感してもらわなければなりません。そのために,弁護人は,被告人がどのような人物なのか,本件はどのような事件なのか,被告人は本件をどのように受け止め,現在どのように思っているのかなどの事情を,具体的事実に基づきながら,主張していかなければなりません。
 ここで重要なことは,証拠にきちんと基づいて,主張していくということです。裁判員であっても,根拠のない主張は受け入れてもらえれませんので,被告人の反省を示すためには,謝罪文を書いたことや自ら捜査機関に犯罪事実を話したことなどの具体的事実を,証拠を示したうえで,主張していく必要があります。

 また,裁判員裁判では,弁護側の主張に説得力がない部分があると,それだけで,裁判員の被告人・弁護人を見る目が厳しくなってしまいます。凶悪な殺人事件で,具体的事実を大して示さずに,弁護人が,「被告人はとても優しい人間です。」と主張したところで,裁判員は全く納得しないでしょう。弁護人は,裁判員の方々が納得できるように,他の同種事案と比較したり,被告人の優しさが分かる具体的事実を多く示したりして,裁判員に弁護側の主張が受け入れられるようにする必要があります。

 さらに,裁判員裁判では,裁判員が法律の素人であることから,なぜこの事情が被告人にとって有利な事情であるのかをしっかりと説明しなければなりません。例えば,前科がないことや被告人が若年であることなどの事情は,法曹三者の間では,共通認識として,被告人にとって有利な事情であるとなっています。ただ,裁判員の方々にとっては,「前科がないのは当たり前。」と考えたり,「年齢で差別するのは不平等だ。」と考えたりすることもあるでしょう。これらの考え方について,弁護人がしっかりと反論し,裁判員を納得させなければ,弁護側の主張を認めてはもらえません。ですから,弁護人は,普段当たり前と思っていることも,裁判員裁判では分かりやすく丁寧に説明する必要があります。

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