法律相談Q&A

Q.
(裁判員裁判12)裁判員裁判と伝聞法則(書証に対し弁護人はどのように対応すべきか)

A.

 伝聞法則とは,公判廷における供述に代えて書面を証拠とする場合,または,公判廷外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とする場合であって,原供述の内容の真実性が問題となる証拠については,原則として証拠能力を認めないという法則です。
 刑事訴訟法320条1項で定められており,刑事裁判においては,公判廷での証人や被告人の供述に対して反対尋問権を行使して,十分に吟味した上で証拠とすべきとの観点から,この法則が採用されています。ただ,当事者が相手方提出の書面について,同意した場合には,証拠能力が付与されることになっています。

 それでは,裁判員裁判においては,弁護人はこの伝聞法則とどのように向き合えばいいのでしょうか。
 まず,被告人以外の者の供述調書についてですが,否認事件において,弁護人は,当該調書を不同意にするだけでなく,自白事件においても,公判廷で当該供述者に供述してもらった方が分かりやすいという場合には,調書を不同意にすることは考えられます。ただ,性犯罪者の被害者のように,証人尋問が行われた場合の方が被告人にとって不利益な供述がなされる可能性がある場合には,敢えて調書に同意するという判断もあるでしょう。分かりやすさを優先するあまり,被告人に不利益な事態が生じることは避けなければなりません。
 次に,被告人の供述調書についてですが,否認事件の場合であれば,基本的には,不同意にすることになります。もっとも,身上調書等の書面で争いがない場合や一部分については同意できる場合には,重要な争点を明確化させるためにも,調書に同意するという判断が好ましいでしょう。
 自白事件の場合であれば,内容的に争いがない調書については同意することが一般的だと思いますが,裁判員裁判では従来の裁判よりも口頭主義が徹底され,裁判員にとって分かりやすい裁判が目指されているので,供述調書とほぼ同様の話を被告人が行う場合であれば,あえて調書を取り調べず,被告人に公判廷で供述してもらう方が得策でしょう。実際に,裁判員裁判では,被告人の供述調書が証拠として採用されず,被告人の公判廷での供述が証拠となるケースがほとんどです。

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