法律相談Q&A

Q.
(裁判員裁判14)裁判員裁判においての少年のプライバシー等保護について

A.

 裁判員裁判の公判では,公開が原則となりますが,少年事件においても成人事件と同様に公開してしまえば,公判の公開により,少年の実名や容姿が明らかとなり,少年のプライバシー権が侵害され,ひいては,少年の社会復帰が阻害されることにもなりかねません。そのため,弁護人は,少年の健全な育成を図るために,公判前整理手続の段階で,裁判所に対して,少年のプライバシーや情操を保護する手段の申し入れをすることが必要になってきます。
 まず,弁護人としては,審理が公開されないことが最も良いので,①公判審理の非公開を求めるという手段を申し入れることが考えられますが,これについては,現在のところ,完全に審理が非公開となったケースはありません。次に,②開廷表に少年の氏名を記載しない,③法廷の入り口扉ののぞき窓から少年の容姿が見えてしまう場合,のぞき窓を塞ぐという手段も考えられます。また,公判手続におけるものとしては,④人定質問において,氏名・住所などを口頭で言わせず,少年に起訴状を示して確認させるという手段や⑤少年と傍聴席との間に衝立などを設置して遮へいするという手段,⑥訴訟手続において,訴訟関係人が少年の実名・住所・学校名など少年の特定につながる情報を口頭で述べないようにするなどの手段が考えられます。弁護人としては,少しでも少年の心理状態を安定させるように尽力する必要があるでしょう。

 また,少年のプライバシー保護と同様に,弁護人が意識しなければならないこととして,少年の情操を保護するということもあります。少年の健全育成・情操保護の観点からは,少年には聞かせたくない情報(例えば,少年本人には告知されていない障害や疾患,出生の秘密など)については,法廷で少年本人が聞くことのないように十分に配慮しなければなりません。
 このような配慮と直接主義・口頭主義との調和の観点から,弁護人は,必要に応じて,①少年を退廷させる,②冒頭陳述,弁論を行う際に,少年に聞かせたくない事項は口頭で述べず,冒頭陳述・弁論終了後に,その内容を記載した書面を裁判官・裁判員に配布する,③書証の取調べにおいて,要旨の告知に留め,書証の写しを裁判官・裁判員に配布する,などの措置を取るよう申し入れるべきでしょう。

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