犯罪被害者はどのように刑事手続に関わることができますか?
もしあなたが、直接的に何らかの犯罪の被害者となってしまった場合でも、みずから犯人を捕まえたり、処罰したりすることはできません。むしろ,従来は、被害者というのは、捜査の客体にすぎず、主体的に刑事司法制度に参加する権利が認められていませんでした。犯人には国選弁護士が就くのに被害者には就かないとか、犯人には手厚く権利保護が保障されているのに、被害者には事件について意見を言う権利も知る権利もない、といったように、被害者は、常に刑事司法手続の蚊帳の外に追いやられていたのです。
近年、被害者の権利にもようやく目が向けられ、刑事訴訟法上、その権利の保障が図られ、かなり大胆な改革が行われました。そうした新制度を含めて、犯罪被害に遭った方々が、どのように刑事手続に関わるのかを説明したいと思います。
被害者はまず最初に、捜査機関(警察)にその被害を申告し、犯人の処罰を求めていくという手順を踏むことになります。
具体的な方法としては、警察に「被害届」という書面を提出することが、その手続きの第一歩となります。そこから捜査がスタートするのですが、被害者はこの捜査の過程で様々な負担を負うことがあります。警察は、あなたの被害申告に基づき事実を確認し、捜査を始めるに当たり必要な証拠資料の提出を求めてくることがあります。
例えば、傷害事件では診断書の提出を求められます。さらに、被害時の状況を警察官に話す過程で作成される「被害者供述調書」(これは検察庁でも作られることがあります。)や警察官と共に被害現場に赴いての実況見分など、事案によっては数々の場面での捜査協力が求められることになります。
他の犯罪の場合でも、捜査機関が申告に基づき捜査を開始するために必要とされる資料や伝票類、メール送受信記録や画像、録音記録物など、以後も逐次、捜査に必要と認められる物(資料、証拠)として提出を求められたり、入手を指示されたり、事情を聞かれたりすることがあります。
そして、捜査が終了した後でも、場合によっては(被告人が犯行を否認するなどの場合)、証人として出廷を求められる場合があります。
このように、被害者の方々は、様々な捜査協力を求められ、その負担も大きいのですが、犯人の検挙、処罰のためには我慢のしどころと思います。従来、被害者の方々は、このような負担面ばかりを押し付けられてきたのですが、近時の法改正で、被害者の権利の確立がかなり進みました。そこで、平成20年12月1日に施行となった、犯罪の被害者に対する新たな支援制度を中心に説明いたします。
これは、「被害者参加制度」と言って、一定の定められた犯罪の被害者となってしまった方が、裁判所の決定により、裁判の日に自ら出席して犯人に対して質問が出来るなど、被害者も犯人の処罰の場に参加できるという制度です。これは、直接の犯罪被害者はもとより、被害者が亡くなっている場合は、被害者本人の配偶者、直系親族、兄弟姉妹の他、未成年者が被害者であれば、その両親も参加することが可能です。
裁判所の決定により、裁判に出席できると認められると「被害者参加人」と呼ばれることになります。しかし、この一定の定められた犯罪というものは、殺人、傷害などの故意の犯罪行為により人を死傷させた罪、強制わいせつ、強姦、自動車運転過失致死傷、逮捕、監禁の罪等であり、どんな犯罪の被害者にも適用となるものではありません。
また、参加の意思表示の方法としては、犯人が起訴された後であれば、いつでも申し出を行うことができますが、これは検察官を通じて裁判所に刑事裁判への参加を申し出ることにより行います。裁判所は、その申し出によって犯罪被害者を刑事裁判に参加できる被害者参加人として決定するのです。
それでは、被害者参加人となったあなたには、裁判の場(公判期日)において,一体何ができるのでしょうか。被害者参加人は、
* 公判期日(裁判が行われる日)に出席すること
* 検察官の権限行使に関し、意見を述べ、説明を受けること
* 証人に尋問すること
* 被告人(犯人)に質問すること
* 事実関係や、法律の適用について意見を陳述すること
ができるようになります。
ただ、それら認められた権利を行使すべきかどうか、また行使するとして、どのようにして行使していったらいいのか、わからないことも多いと思います。そのために、被害者参加人は、これらの行為を弁護士に委託することができるのです。
NICDでは、豊富な経験を有する元検事の代表弁護士のほか、数多くの捜査経験の中で被害者に対応してきた元警視庁警察官もスタッフとして擁しておりますので、被害者の方々のあらゆるご相談に応じることができます。



