ゴーン氏が初めて公の場に! – 勾留理由開示とは?|刑事事件に強い元検事弁護士が強力対応

ゴーン氏が初めて公の場に! – 勾留理由開示とは?

刑事弁護コラム

ゴーン氏が初めて公の場に! – 勾留理由開示とは?

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 報道によると,ゴーン氏について,弁護団が東京地裁に勾留理由開示を申し立てたようだ。
 勾留理由開示は,公開の法廷で行われるので,初めてゴーン氏が公の場に登場する。8日に実施される見込みという。
 既に特別背任罪で勾留延長もなされ,11日が勾留延長期限とされ,同日には起訴されるであろう。
 勾留は,法律上の要件が満たされて初めて認められる。その要件とは,罪を犯したことが疑われ,かつ,証拠を隠滅したり逃亡したりするおそれがあるという要件である。刑事訴訟法60条の各号がこの要件を定めている。
 勾留決定をした裁判官は,この各号の要件のうち,どの要件に該当するのかについて何号かを明示して開示するけれども(弁護人は勾留状謄本を入手出来る),どうしてその要件に該当するのか,その理由は勾留決定の際に告知せず,開示もしない。

 そこで,その理由を説明することを求める機会を被疑者や弁護人に与えたのが勾留理由開示制度なのである(刑事訴訟法83条1項)。
 この制度は,不当な拘束を禁止した憲法34条後段に基づいて定められたもので,裁判官がいかなる理由で勾留したのかを明らかにするために行い,しかも公開の法廷で行わなければならないとされている。原則として請求から5日以内に開かれる。
 この勾留理由開示には,被疑者(被告人)のほか,弁護人,検察官が立ち会う。傍聴は誰でも出来る。通常の裁判と違って検事と弁護士が丁々発止のやり取りをするわけではなく,裁判官が一方的に勾留理由を説明するだけである。検事は終始黙ったまま。

 ただ,被疑者や弁護人には意見陳述の機会が与えられるので,おそらくゴーン氏は意見を述べることになると思う。
 また,弁護人は裁判官に勾留理由について釈明を求めることが出来る。通常は「具体的にどんな証拠に基づいて嫌疑ありとしたのか」などの求釈明をするが,それに対して裁判官は「捜査に支障を来すので具体的証拠は開示できない」と,つれない回答をする。
 もちろん,被疑者や弁護人の意見を聞いて翻意して勾留を取り消すなんてことは絶対ない。
 ましてや,検察がその意見を聞いて起訴を取りやめることは絶対にない。11日が勾留満期なので,勾留理由開示が行われる8日には起訴状案も出来上がり庁内決裁の準備に入っているだろう。

 そうすると,勾留理由開示なんてあまり意味のないものに思えるかもしれない。極端に言えば,ある種の儀式みたいなものである。
 しかし,意味が全くないかと言えばそうではない。それは密室下の捜査,取調べの可視化を図るという重要な意義がある。

 今回のゴーン氏の事件が国際的な高い関心を呼んでいることから,知り合いの外国人によく言われる。「どうして日本は逮捕されるとdisappearになってしまうんだ」と。
 彼ら外国人の目には,ゴーン氏が忽然と失踪,誘拐されたように映るらしい。中国で人権派弁護士が拘束されてdisappearしたのとあまり変わりはないと感じるのだろう。
 そうした状態,被疑者が密室下に置かれるという状態を少しでも解消する機能を有するのが,この勾留理由開示制度である。

 特にゴーン氏のように接見禁止処分が付されると,家族ですらその顔を見ることは出来ないので,公開法廷で行われる勾留理由開示は大きな意味を持つ。
 ゴーン氏が初めて自己にかけられた嫌疑に根拠がないことを公に表明し,名誉回復を図る機会でもある。

(代表弁護士・中村勉)

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