刑事判例紹介(1)|刑事事件の中村国際刑事法律事務所

刑事判例紹介(1)

刑事弁護コラム

刑事判例紹介(1)

事案

 被告人は,アルコール保有量検査のため風船への呼気吹き込みを求められたが,断って警察署の出入口の方に行きかけたため,巡査が「風船をやってからでいいではないか。」といって両手で被告人の左手首を掴んだ。巡査の制止行為につき,任意捜査の限界を超え,違法ではないかが問題となった事案。

判旨(最高裁昭和51年決定)

 強制手段とは,有形力の行使を伴う手段を意味するものではなく,個人の意思を制圧し,身体,住居,財産等に制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など,特別の根拠規定がなければ許容することが相当でない手段を意味するものであって,右の程度に至らない有形力の行使は,任意捜査においても許容される場合があるといわなければならない。ただ,強制手段にあたらない有形力の行使であっても…必要性,緊急性なども考慮したうえ,具体的状況のもとで相当と認められる限度において許容されるものと解すべきである。

コメント

 巡査の行為が「強制の処分」(刑事訴訟法197条1項但書)にあたる場合には,刑事訴訟法に特別の定めがない限り違法となります。判例は「強制の処分」の定義を示したうえで,それ以外の有形力の行使すべてが許されるわけではなく,任意捜査にも限界があることを示しています。

Pocket

公開日: 更新日:

「刑事事件」に関する取扱い分野

「刑事事件」事案の経験豊富な弁護士はこちら

パートナー 坂本 一誠

ご挨拶  私は,これまで100件以上の刑事事件に携わり,痴漢や盗撮,万引きといった皆様の日常で発生することのある事件,組織的な特殊詐欺事件,強盗致傷 ...

オブカウンセル 上野 達夫

 弁護士上野達夫は東京大学経済学部を卒業し,司法修習修了後,大手の総合法律事務所を経て,ニューヨーク大学ロースクールに留学し,ニューヨーク州の司法試験 ...

「刑事事件」に関する刑事事件Q&A

「刑事事件」に関する刑事弁護コラム

「刑事事件」に関するご依頼者様の「感謝の声」

先生の「今から頑張れば何でもできるよ!」の言葉が一番息子に『2度と犯罪行為はしない。自分の人生を大切に生きたい。』と思わせてくださいました。

先生の「今から頑張れば何でもできるよ!」の言葉が一番息子に『2度と犯罪行為はしない。自分の人生を大切に生きたい。』と思わせてくださいました。  今後 ...

「刑事事件」に関する解決実績