刑事判例紹介(18)|刑事事件の中村国際刑事法律事務所

刑事判例紹介(18)

刑事弁護コラム

刑事判例紹介(18)

事案

 現住建造物等放火の罪で逮捕するだけの証拠を得られていない被疑者について,警察は,軽微な別件である不法残留罪で逮捕・勾留し,その勾留期間の4日目以降に,現住建造物等放火の罪についての取調べを行った。被告人は,このような取調べが違法であるとして,現住建造物等放火の罪の自白調書の証拠能力の効力を争った。

判旨(浦和地裁平成2年判決)

 …違法な別件逮捕・勾留として許されないのは,…「未だ重大な甲事件について被疑者を逮捕・勾留する理由と必要性が十分でないのに,主として右事件について取り調べる目的で,甲事件が存在しなければ通常立件されることがないと思われる軽微な乙事件につき被疑者を逮捕・勾留する場合」も含まれると解する…。
 …捜査機関が,別件により身柄拘束中の被疑者に対し余罪の取調べをしようとするときは,…その取調べに応ずる法律上の義務がなく,いつでも退去する自由がある旨を被疑者に告知しなければならない…被疑者が退去の希望を述べたときは,直ちに取調べを中止して帰房させなければならない。

コメント

 一般的に,軽微な別件による身柄拘束中に,より重大な本件についての取調べがなされた場合,刑事訴訟法の規律を潜脱しないかが問題となります。本判決は,重大な本件である現住建造物等放火の罪を取調べることが主たる目的であると認められるため,身柄拘束自体に令状主義を実質的に潜脱する違法があること,仮に身柄拘束が違法でないとしても,余罪取調べとして必要な被疑者の権利への配慮を欠いていることより,なお取調べは違法であるとして,自白調書の証拠能力を否定しており,余罪捜査の適法性にも限界があることを示しています。

Pocket

「刑事事件」に関する取扱い分野

暴行事件の逮捕・示談に強い弁護士

 日常生活で起こりうる,以下のようなトラブルを見てみましょう。 彼女と口喧嘩をしていて,つい手が出てしまった,殴ってしまった けんかになって相 ...

弁護士によるセカンドオピニオン

弁護士のセカンドオピニオンとは何か  セカンドオピニオンとは,ある専門家に相談または依頼している案件について,別の専門家に意見を聞くことをいいます。 ...

民事事件

民事事件でお困りの方々のアドバイザーとしてお力になります  当事務所の弁護士は,離婚や相続といった民事事件に関しても豊富な経験と知見があります。 ...

「刑事事件」事案の経験豊富な弁護士はこちら

弁護士 勝浦 貴大

ご挨拶  大阪で弁護士をしている勝浦貴大と申します。社会は日々,複雑に変化しますが,刑事事件もの様相も複雑かつ多様に変化するものと思います。こうした ...

弁護士 山口 亮輔

ご挨拶  弁護士の山口亮輔と申します。私のページをご覧いただき,誠にありがとうございます。私は,若さを活かして日々の執務にあたっております。  刑 ...

弁護士 上野 達夫

 弁護士上野達夫は東京大学経済学部を卒業し,司法修習修了後,大手国際総合事務所を経て,ニューヨーク大学ロースクールに留学し,ニューヨーク州の司法試験に ...

「刑事事件」に関する刑事事件Q&A

「刑事事件」に関する刑事弁護コラム

刑事判例紹介(22)

刑事判例紹介(22) 事案  令状に基づき,被告人方を捜索していたところ,捜索中に荷物が配達され,被告人がこれを受け取った。捜査官は,以前にも同じよ ...

「刑事事件」に関するご依頼者様の「感謝の声」

「刑事事件」に関する解決実績

mail tel