刑事判例紹介(43)|刑事事件の中村国際刑事法律事務所

刑事判例紹介(43)

刑事弁護コラム

刑事判例紹介(43)

事案

 暴力団員Xらが起こした傷害事件について,第一審がXを懲役6月の実刑に処したところ,Xが,起訴状における「被告人Xは暴力団松本会系安藤組の若頭補佐,被告人Y,同Zは同組の組員であるが」との記載が刑事訴訟法256条6項に違反するとして控訴した事案。

判旨(刑訴法43事件)

 「本件は被告人を含む共犯者3名が1通の起訴状で一括して公訴を提起せられた傷害被告事件であって……起訴状の中になされた所論のような記載は,被告人と共犯者の関係を明らかにすることによつて共謀の態様を明示し,公訴事実を特定するためのものであるとも解せられ,いまだ刑事訴訟法二五六条六項の規定に違反するものとはみられない。」

コメント

 裁判官の予断を排除し,裁判の公正を確保する趣旨から,刑事訴訟法256条6項は,「起訴状には,裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物を添附し,又はその内容を引用してはならない」と定めています。条文上禁じられているのは添附・引用ですが,上記趣旨からすれば,それらに当たらない単なる「記載」であったとしても,裁判官に予断を生ぜしめるようなものは許されないと解すべきであり,そのような理解が一般的です。
 その一方で,裁判所の審判対象を画定し,被告人に防御権の範囲を告知するため,どのような具体的事実に基づいて公訴が提起されているのか(訴因)を起訴状に明示する必要もあります。
 そこで,必ずしも相いれない予断排除と訴因明示の両要請をどのように調整するかが問題となります。
 本判決は,共犯者がいる事件であり,その者との共謀の事実,態様を明示する必要があるとして,被告人が暴力団関係者である旨の記載も許されるとしています。このことから,本判決は,上記問題につき,訴因明示のために必要がある場合,予断排除の要請は後退し,予断を生じさせうる記載も許されることを示したものであると評価することができます。

Pocket

「刑事事件」に関する取扱い分野

暴行事件の逮捕・示談に強い弁護士

 日常生活で起こりうる,以下のようなトラブルを見てみましょう。 彼女と口喧嘩をしていて,つい手が出てしまった,殴ってしまった けんかになって相 ...

弁護士によるセカンドオピニオン

弁護士のセカンドオピニオンとは何か  セカンドオピニオンとは,ある専門家に相談または依頼している案件について,別の専門家に意見を聞くことをいいます。 ...

民事事件

民事事件でお困りの方々のアドバイザーとしてお力になります  当事務所の弁護士は,離婚や相続といった民事事件に関しても豊富な経験と知見があります。 ...

「刑事事件」事案の経験豊富な弁護士はこちら

弁護士 勝浦 貴大

ご挨拶  大阪で弁護士をしている勝浦貴大と申します。社会は日々,複雑に変化しますが,刑事事件もの様相も複雑かつ多様に変化するものと思います。こうした ...

弁護士 高田 早紀

ご挨拶  弁護士の高田早紀と申します。私の紹介ページをご覧いただき,誠にありがとうございます。  依頼者の方に寄り添い,少しでも刑事手続に対する不 ...

弁護士 漆原 俊貴

ご挨拶  弁護士の漆原俊貴(うるしはらとしき)と申します。  突然ですが,皆さんにとって,弁護士のイメージはどのようなものでしょうか?人それぞれだ ...

弁護士 宮本 萌

ご挨拶  こんにちは。弁護士の宮本萌と申します。  世の中には沢山の法律が存在します。このくらい大丈夫だろう,と思ってした行為が罪に問われ,逮捕さ ...

「刑事事件」に関する刑事事件Q&A

「刑事事件」に関する刑事弁護コラム

刑事判例紹介(35)

刑事判例紹介(35) 事案  建造物侵入未遂被疑事件の嫌疑を有するAに対して,犯行計画メモやA名義の預金通帳等を差し押さえることを許可する旨の捜索差 ...

最新判例 平成28年3月8日

最新判例 平成28年3月8日 事案  被告人が民家に侵入し,金品を奪取するとともに,家人をナイフで殺害した事案。第1審,原審が死刑としたところ,死刑 ...

「刑事事件」に関するご依頼者様の「感謝の声」

「刑事事件」に関する解決実績

mail tel