刑事判例紹介(85)|刑事事件の中村国際刑事法律事務所

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刑事弁護コラム

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事案

 退去強制によって本国に強制送還された参考人の検察官面前調書について,刑訴法321条1項2号前段の「供述者が…国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき」に当たるとして,その証拠能力が認められるかが争われた。

判旨(最高裁平成7年判決)

 (刑訴法321条1項2号前段の)規定が320条の伝聞禁止の例外を定めたものであり,憲法37条2項が被告人に証人審問権を保障している趣旨にもかんがみると,検察官面前証書が作成され証拠請求されるに至った事情や,供述者が国外にいることになった事由のいかんによっては,その検察官面前証書を常に右規定により証拠能力があるものとして事実認定の証拠とすることができるとすることには疑問の余地がある。…検察官において当該外国人がいずれ国外に退去させられ公判準備又は公判期日に供述しようとすることができなくなることを認識しながら殊更そのような事態を利用しようとした場合はもちろん,裁判官又は裁判所が当該外国人について証人尋問の決定をしているにもかかわらず強制送還が行われた場合など,当該外国人の検察官面前調書を証拠請求することが手続的正義の観点から公正さを欠くと認められるときは,これを事実認定の証拠とすることが許容されないこともあり得るといわなければならない。

コメント

 本判決は,退去強制との関係で手続的正義の観点から公正を欠く場合には証拠能力を認めることができないと判示しました。そして,本件では,検察官が強制送還されることを殊更利用しようとしたとは認められず,また,弁護人から証拠保全請求があった参考人は請求時にすでに強制送還されており,他の参考人については証拠保全の請求がないまま強制送還されていることから,手続的正義の観点から公正を欠くとは認められないと判断され,証拠能力が認められました。

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