刑訴一部改訂解説(2) – 証拠隠滅等の罪などの法定刑の引き上げ
概要及び解説
今回の刑事訴訟法の改正によって,①証人不出頭の罪等の法定刑の引き上げと,②勾引要件の緩和がなされました。
①には,証人不出頭の罪と宣誓拒絶の罪があります。
まず,証人不出頭の罪とは,一定の日時・場所に出頭することを命じられているにも関わらず,正当な理由もないのに赴かないことをいいます。この罪の法定刑が,「十万円以下の罰金又は拘留」から,「一年以上の懲役又は三十万円以下の罰金」に引き上げられました。
次に,宣誓拒絶等の罪とは,正当な理由がないのに,宣誓や証言を拒むことをいいます。この罪の法定刑も証人不出頭の罪と同様に,「十万円以下の罰金又は拘留」から,「一年以上の懲役又は三十万円以下の罰金」に引き上げられました。
②の勾引とは,証人が裁判所から呼ばれているにも関わらず,正当な理由もないのに赴かない場合に,一定の場所に引致する裁判及び執行をいいます。
これまでは,裁判所からの呼び出しに応じない者に対してのみ,再度の呼びかけに替えて勾引が認められていました。しかし,今回の改正によって,正当な理由がないのに,裁判所からの呼び出しに応じないおそれがある者も勾引の対象とされました。
つまり,初めて裁判所から呼ばれる場合であっても,呼び出しに応じないおそれがあると判断された者は勾引されることになりました。
これらの改正は,証人の確保を目的としています。
証人からの証言等を多く得ることが出来るようになれば,これまで以上に多数の証拠に基づく判断がなされるようになると考えられます。