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性犯罪被害でお悩みの方へ – 性犯罪被害について元検事率いる中村国際刑事の弁護士が解説

性犯罪は、「魂の殺人」とも呼ばれるほど重大な犯罪です。性犯罪は、被害者の尊厳を踏みにじり、被害者に対し、身体的にも精神的にも重大な被害を与えるものです。

性犯罪被害に遭われた方の中には、あまりの被害の大きさから、誰にも相談できずに一人で抱え込んでしまう人も、残念ながら少なくないのが現状です。

しかし、一人で抱え込まず、ぜひ私たち弁護士に相談してください。私たち弁護士と一緒にできることを考え、少しでも前に進む手助けをさせていただきたいと思っています。

性犯罪とは

性犯罪とは、みなさんが日常でよく耳にされる「痴漢」、「盗撮」、「レイプ」、「わいせつ行為」、「性的暴行」などと呼ばれる犯罪のことを言います。これらの言葉が法的にはどのような罪に当たるのか、以下で詳しく説明します。

そして、あなたが受けた被害についてどのような罪が成立するのかを理解し、警察や弁護士に相談するための手助けになればと思います。もちろん、どのような罪が成立するのか事案によって判断が難しいものがありますので、遠慮せずに私たち弁護士に相談してくださいね。

性犯罪の種類・基準

痴漢

痴漢とは、一般に、各都道府県が定めた条例に違反するものと、刑法第176条で定められている強制わいせつ罪に当たるものがあります。各都道府県が定めた条例に違反する痴漢とは、公共の場所や公共の乗り物において、人の身体に、衣服の上から又は直接触れることをいいます(例:東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第5条第1項第1号、神奈川県迷惑行為防止条例第3条第1項第1号、大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第6条第1項第1号等)。

強制わいせつ罪に該当する痴漢とは、「暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為」をすること(刑法第176条)をいいます。
ここでいう「暴行又は脅迫」とは、被害者の意思に反してわいせつ行為をするのに必要な程度に被害者の反抗を抑制することをいい、必ずしも殴る・怒鳴るなどの行為は必要とされません。

「わいせつな行為」とは、「徒に性欲を興奮又は刺激せしめ、且つ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」(名古屋高金沢支判昭和36年5月2日)と定義されます。触れ方や頻度から、いわゆる痴漢と呼ばれる行為でもより悪質なものであれば、条例違反ではなく、強制わいせつ罪にあたることがあります。例えば、単に衣服の上から胸や陰部に触れるだけでなく、弄んだような場合には、条例違反の痴漢ではなく、強制わいせつ罪に該当する場合があります。

次に、法定刑を見ていきます。
条例違反の痴漢の場合には、犯人に対して、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」(例:東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第8条第1項第2号)が科せられます。痴漢行為を「常習として」行っている場合には、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(例:東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第8条第8項)が科せられます。

強制わいせつ罪に該当する痴漢の場合には、犯人に対して、「6月以上10年以下の懲役」(刑法第176条)という格段に重い刑が科せられます。

盗撮

「盗撮」は、各都道府県が定めた条例により規制されています。
各都道府県により条例の内容が少し異なりますが、盗撮が禁止されている場所は、「住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」(例:東京都公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例第5条第1項第2号イ)、及び「公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)」(例:同条例第5条第1項第2号ロ)と広範囲にわたります。

また、盗撮行為については、上記の場所又は乗物において、「人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。」(例:同条例第5条第1項第2号)と規定されています。すなわち、実際に盗撮画像を撮影しなくとも、スマートフォンのカメラ等の機器をスカートの中等に差し向けたりする行為や、盗撮が禁止されている場所にビデオカメラを設置したりする行為も、盗撮にあたります

次に、法定刑を見ていきます。
写真機その他の機器を用いて「撮影」をした犯人に対しては、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(例:同条例第8条第2項第1号)が科せられます。「撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置」した犯人に対しては、「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」(例:同条例第8条第1項第2号)が科せられます。

また、「常習として」、「撮影」行為を行った場合には、「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(例:同条例第8条第7項)(「撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置」した場合には、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(例:同条例第8条第8項))が科せられます。

強制わいせつ罪

強制わいせつ罪とは、上記の「痴漢」の箇所で説明したとおり、「暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為」をすること(刑法第176条)をいいます。たとえば、無理やりキスをしたり、服の中に手を入れて胸を弄んだりといった行為が強制わいせつ罪に該当します

条例違反の痴漢の場合には、上記のとおり場所の限定がありましたが、強制わいせつ罪においてはこのような場所の限定がないので、自宅などの密室でも犯罪が成立します。法定刑については先ほど説明したとおり、強制わいせつ罪の犯人に対して、「6月以上10年以下の懲役」(刑法第176条)が科せられます。

強制性交等罪

強制性交等罪とは、「暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)」をすること(刑法第177条)をいいます。強制性交等罪の「暴行又は脅迫」とは、被害者の抵抗を著しく困難にする程度の暴行又は脅迫をいい、強制わいせつ罪の「暴行又は脅迫」よりも強い程度が要求されます
法定刑について、強制性交等罪の犯人に対しては、「5年以上の有期懲役」(刑法第177条)が科せられます。

準強制わいせつ罪、準強制性交等罪

準強制わいせつ罪とは、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、わいせつな行為」をすること(刑法第178条1項)をいいます。準強制性交等罪とは、「人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ、又は心神を喪失させ、若しくは抗拒不能にさせて、性交等」をすること(刑法第178条2項)をいいます。

「心神喪失」とは、精神又は意識の障害によって、性的行為につき正常な判断ができない状態のことをいいます。例えば、失神している状態、酩酊している状態、睡眠中、高度の精神病を患っている人などが「心神喪失」にあたります。「抗拒不能」とは、心神喪失以外の理由で物理的、心理的に抵抗できない、あるいは抵抗することが著しく困難な状態にあることをいます。例えば、患者が医師を信頼していたため、医師のわいせつな行為を治療に必要な行為と誤信してしまった場合などが「抗拒不能」にあたります

そして、被害者がたとえば寝ているなど既にこうした状態となっているのを利用し、あるいは被害者をたとえば薬物等でこうした状態に陥らせて、わいせつ行為・性交等を行うことを準強制わいせつ・準強制性交等といいます。

法定刑について、準強制わいせつ罪の犯人に対しては、「6月以上10年以下の懲役」(刑法第178条1項、第176条)、準強制性交等罪の犯人に対しては、「5年以上の有期懲役」(刑法第178条2項、第177条)が科せられます。

監護者わいせつ罪、監護者性交等罪

監護者わいせつ罪とは、「18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じてわいせつな行為」(刑法第179条第1項)をすることをいいます。監護者性交等罪とは、「18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者であることによる影響力があることに乗じて性交等」をすること(刑法第179条第2項)をいいます。

「監護する者」にあたるかどうかは、「18歳未満の者」を現に監護しているといえるか否かを、同居の有無、衣食住などの経済的な観点、生活上の指導監督などの精神的な観点などを考慮して実質的に判断します。法律上の監護権があることは必要ではありません。

法定刑について、監護者わいせつ罪の犯人に対しては、「6月以上10年以下の懲役」(刑法第179条第1項、第176条)、監護者性交等罪の犯人に対しては、「5年以上の有期懲役」(刑法第179条第2項、第177条)が科せられます。

性犯罪に関する法令について

ここでは、刑法の性犯罪に関する規定について、近年の重要な改正をご紹介します(平成29年6月16日改正、同年7月13日施行)。

強制性交等罪(刑法第177条)

刑法第177条は、従前、「強姦罪」という名称でしたが、改正により「強制性交等罪」と名称が改められました。従前の強姦罪では被害者を「女子」と限定していましたが、強制性交等罪においては被害者の性別の限定がなくなり、男性も被害者となりうるようになりました。

また、従前の強姦罪では、罰せられる行為の対象が、「姦淫」のみと規定されており、肛門性交や口腔性交などの性交類似行為については処罰対象となりませんでした。すなわち、肛門性交や口腔性交の性交類似行為については、強姦罪よりも法定刑が比較的軽い強制わいせつ罪で罰することしかできませんでした。しかし、改正された強制性交等罪では、肛門性交や口腔性交などの性交類似行為も「性交等」として処罰の対象に含まれることになったのです。

さらに、強制性交等罪の法定刑の下限が懲役3年から懲役5年に引き上げられました。刑法上、執行猶予が付されるのは、「3年以下の懲役…の言い渡し」(刑法第25条第1項)を受けることが必要ですから、強制性交等罪について基本的には執行猶予が付されないことになります(「犯罪の情状に特に酌量すべきものがあるとき」(刑法第66条)にのみ、下限を2年6月まで引き下げることができますが、酌量減刑は極めて限定的な場合になされます。)。これは、殺人罪(刑法第199条)や強盗罪(刑法第236条)の法定刑の下限と同様であり、強制性交等罪について厳罰化がなされたといえます。

監護者わいせつ罪、監護者性交等罪(刑法第179条)

これらの罪も、平成29年の上記改正により新設されました。精神的に未熟で判断能力に乏しい18歳未満の者に対し、依存・被依存の関係にある監護者の影響力がある状態でわいせつ行為や性交等が行われた場合には、18歳未満の者の自由な意思決定によってわいせつ行為や性交等が行われたといえないことから、「暴行又は脅迫」といった手段の限定や心神喪失・抗拒不能といった状態の限定がなくとも、処罰の対象にできるようになったのです。

したがって、このような被害者に対しては、わいせつ行為や性交等が行われればその態様がたとえ穏やかであったとしても、これらの罪が成立することになります。

性犯罪被害の相談窓口・支援センター

ここでは、公的機関による、性犯罪被害の相談窓口・支援センターを簡単に紹介します。性犯罪被害に遭い、どこに相談したらよいかわからない、何をすべきかわからない、という方は、ひとまずこれらの窓口に相談することで、今後の見通しなどが見えてきて、不安な気持ちが和らぐはずです。

警視庁による性犯罪被害相談電話窓口
「#8103」(通称ハートさん)という全国共通の短縮ダイヤル番号を押すと、発信された地域を管轄する各都道府県警察の性犯罪被害相談電話窓口につながります(もちろん、各都道府県警察の性犯罪被害相談電話窓口に個別にダイヤルをして相談することもできます)。

この窓口は、犯罪被害に遭い、どうしたら良いのかわからず、誰にも話せずに悩んでいる方を支援するために設けられたものです。事件に向けての捜査など、刑事手続を進めるためには、警察の協力が必要不可欠です。ですが、いきなり警察署に出向いて相談をする勇気が出ない、という方に是非利用してもらいたい窓口です。被害に遭われた方ご本人からだけでなく、ご家族や友人の方からの相談も受け付けているようです。

警察だけでは対応できないことについては専門の機関等を紹介してくれるので、どこに相談したらよいかわからない場合に、まず警察の相談窓口を利用するのも手です。

行政が関与する性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター
各都道府県における、性犯罪・性暴力に関する相談窓口になります。この相談窓口は、産婦人科医療やカウンセリング、法律相談などの専門機関とも連携していますので、性犯罪被害によって受けた体の傷、心の傷を和らげる手助けをしてくれると思います。

法務局による女性の人権ホットライン
性犯罪などの女性をめぐる様々な人権問題についての相談を受け付ける、法務局による専用相談電話窓口です。電話をかけると、最寄の法務局・地方法務局につながり、女性の人権問題に詳しい法務局職員又は人権擁護委員が相談対応をしてくれます。電話だけでなく、インターネットにより相談をすることも可能です。

検察庁による被害者ホットライン
被害者の方が検察庁へ性犯罪被害等に関する相談を行えるように設けられた、検察庁による相談電話窓口です。被害者支援員を配置している全国の検察庁に相談電話窓口が設置されています。

性犯罪被害のご相談は弁護士へ

性犯罪被害に遭われた方の中には、突然心身に大きな傷を負い、これからどうしたらいいのかさえ考えられない方もいると思います。誰にも相談できず、警察に行く勇気も出ず、このまま泣き寝入りするしかないのか…と考えてしまう方もいるのではないでしょうか。

ですが、後になって「犯人を逮捕してほしい。」、「犯人に重い罪を受けてほしい。」、「犯人から賠償金を取りたい。」と思っても、その時点では遅いことがあります。なぜならば、被害を受けてから時間が経てば経つほど、犯人や事件につながる証拠はどんどん消えてしまいます。それゆえ、警察も捜査を渋るようになりかねません。このように、できるだけ早く行動を起こし、被害に遭った証拠を残さなければ、結果として事件として立件されず、自分が性犯罪被害を受けたという「傷」だけが残ってしまう恐れがあるのです。

ですから、性犯罪被害に遭ってしまったら、一刻も早く弁護士に相談してください。私たち弁護士は守秘義務を負っているので、「性犯罪被害に遭ったことを誰にも知られたくない。」という気持ちを尊重しながら、性犯罪被害に遭った後で何ができるのか、一緒に模索することができます。

性犯罪被害で弁護士ができること

ここでは、刑事手続の段階に分けて弁護士としてできることを説明していきます。もちろん、どの段階においても、私たち弁護士は性犯罪被害に遭って傷ついているあなたの話をじっくり聞き、心身に対するケアをしながら、あなたの味方として活動していきます。

1.事件が立件される前に弁護士ができること

まず、性犯罪被害に遭われた方が警察に相談に行く際のアドバイスをします。具体的には、警察に行く前にどのような証拠を残すべきか、警察にどのような話をすべきか、などです。必要があれば、弁護士があなたに陳述書を作成してもらうなどした上、警察署に同行することもあります。

また、弁護士が警察に捜査を促したり、捜査状況等を聞き出すこともあります。弁護士が刑事告訴を行うことで、警察の捜査を促すことができる場合もあります。警察が事実上捜査をしているが、残念ながら立件困難である場合には、(犯人が特定されていなければその特定を試みた上、)示談交渉により接触禁止や金銭的解決を得られるように活動することもあります。

2.事件が立件されてから裁判が行われる前に弁護士ができること

引き続き、性犯罪被害に遭われた方が、警察・検察へどのように対応するのが良いかアドバイスをします。また、弁護士が警察・検察に対して捜査を促したり、捜査状況等を聞き出すこともあります。検察は法律の専門家であり、事件の起訴・不起訴の処分を決める権限を持ちます。ですから、弁護士から検察に対して、被害者の処罰感情を伝えたり、本件は起訴するのが相当な事案であるという意見書を提出し、検事の起訴判断を後押しします

犯人あるいは犯人側の弁護人から示談の申し入れがあった場合には、被害者のご意向を逐一確認しつつ示談交渉を進め、あるいは拒否します。ここで、示談交渉の際に、被害者が弁護士をつけるメリットを2点ご説明します。

1点目は、交渉能力の対等性です。仮に、法律の専門家でない被害者本人が、犯人側の弁護人と直接示談交渉をすると、専門家でないがゆえに、心身の被害の程度や傷ついたお気持ちにそぐわない条件で示談が成立してしまうおそれがあります。この点、被害者側も弁護士に依頼し、対等に示談交渉を進めることで、このようなおそれを回避し、ご意向を示談に反映することが可能となります。

もちろん、示談交渉着手前、あるいは示談交渉の節目節目で、当該事案の処分の見通しや、示談条件の妥当性、その時々で示談することのメリット・デメリット等をきちんと説明します。特に、検察が事件について不起訴処分(証拠が不十分、事案が軽微など)を考えている場合や、略式手続(条例違反(痴漢・盗撮など)のように罰金刑が定められている事件において、正式な刑事裁判が開かれず、裁判を書面審理のみで終わらせる簡略な手続き)を考えている場合には、不起訴処分又は略式手続の後に自分から民事裁判を提起せざるを得なくなる可能性が高く、検察が処分を決定する前に示談をすることのメリットが大きいので、弁護士が事案やタイミングを見極めて示談交渉をする必要があります。

2点目は、精神的負担の軽減です。被害者本人が、犯人または犯人側の弁護士と直接連絡を取って示談交渉をするのは、大きな精神的負担となります。そのたびに事件のことを思い出さなければなりませんし、犯人側の弁護人が不誠実な対応をとることもあり、二重に傷ついてしまう危険性も考えられます。この点、弁護士が被害者の代わりに交渉に当たれば、このような精神的負担を負うことなく、できるだけ事件のことを考えずに日常生活を送ることができます。

3.裁判中に弁護士ができること

裁判中であっても、犯人側の弁護士と示談交渉を継続する場合があります。弁護士が示談交渉の窓口となるメリットは、上記2でご説明したとおりです。特に、被害者に対して、判決前に示談を成立させることのメリット・デメリットと、判決後に損害賠償命令制度や民事上の損害賠償訴訟を利用する場合のメリット・デメリットを事案に応じてわかりやすく説明し、示談に応じるか・応じないかの判断材料を提供します

示談の際には、「刑事和解」という制度を利用することもあります(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律第19条)。これは、裁判外で和解(示談)が成立した場合に、事件を審理している刑事の裁判所に申し立てをして、裁判所に和解の内容を公判調書に記載してもらうという制度です。公判調書には、民事訴訟で裁判上の和解が成立したのと同様の効力が与えられますので、犯人が示談金を支払わない場合には、被害者がわざわざ民事裁判を起こさなくとも、この公判調書に基づいて強制執行の手続きを取り、示談金を回収することができるのです。

また、裁判となっている事件が犯罪被害者参加制度対象事件(強制性交等致死傷罪、強制性交等罪、準強制性交等罪、強制わいせつ致死傷罪、強制わいせつ罪、準強制わいせつ罪、監護者わいせつ罪、監護者性交等罪等)である場合には、被害者の希望があれば、弁護士が被害者と一緒に、あるいは被害者に代わって、裁判に出廷して被害者の気持ちを代弁し、犯人の処罰を決める審理の場に参加します。

犯罪被害者参加制度によってできることは、①公判期日に出廷すること(被害者は、検察官の横、つまり当事者席に座ることができます。)、②検察官へ意見を述べたり、説明を求めること、③証人尋問をすること、④被告人質問をすること、⑤被害に関する心情についての意見陳述を行うこと、⑥最終意見陳述を行うことです。②について、意見を述べることができるのは、検察官の権限のうち、証人尋問や論告求刑だけに限られず、訴因変更請求権(例:強制性交の被害に遭ったことでひどいPTSDを発症したので、公訴事実を強制性交等罪から強制性交等致傷罪に変更してほしい。)や証拠調べ請求権、上訴権(例:判決に納得がいかないので控訴してほしい。)等の刑事裁判手続の多岐にわたります。③については、尋問の範囲が限られており、一般情状に関する事項(被害者の被害感情や被告人の反省状況等)に関して、証人の供述の証明力を争うためのものに限って尋問することになります。

犯行の態様、動機、結果、共犯事件における役割等の、犯情に関する事項については尋問することができないことに注意しましょう。④については、後述⑥に関する事項、つまり犯罪事実や犯情に関する事項についても質問をすることができるので、③よりも広い事項についての質問が可能です。⑥については、検察官の論告求刑の後に行います。意見陳述の内容は、公訴事実や量刑の基礎となる事実に関する主張、法律の解釈や適用に関する意見、量刑に関する意見です。つまり、性犯罪被害者の立場から、被告人の犯行がどれほど悪質で、重い刑罰がふさわしいということを述べる、つまり、検察官がする論告と同様の事項について意見を述べることが出来るのです。

なお、後述4の損害賠償命令制度を利用する場合には、弁論終結時までに損害賠償命令の申し立てをしておく必要があります。

4.裁判後に弁護士ができること

強制性交等致死傷罪、強制性交等罪、準強制性交等罪、強制わいせつ致死傷罪、強制わいせつ罪、準強制わいせつ罪、監護者わいせつ罪、監護者性交等罪等の場合には、損害賠償命令制度を利用することができます。損害賠償命令制度とは、裁判で犯人の有罪の言い渡しをした後で、刑事事件を担当した裁判官が、引き続き損害賠償請求についての審理も行い、犯人に損害の賠償を命ずることができる制度のことをいいます。

従来、刑事裁判と民事裁判は別に審理されており、被害者が犯人に対して損害賠償請求をする場合は、自ら調停・民事訴訟等の罰の裁判手続を採るしかありませんでした。民事訴訟によって損害賠償請求をするためには、被害者の側で訴えを提起したうえ、不法行為事実(≒犯罪事実)を主張・立証しなければならず、被害者は、刑事裁判で法廷に顕出された証拠を直ちに利用することも出来ず、裁判に対する過度な負担を強いられ、時間も費用も労力もかけなければなりませんでした。

しかしながら、平成20年12月1日に導入された損害賠償命令制度においては、有罪になった刑事裁判記録をもとに審理が行われるので、被害者が自ら証拠を収集・提出等をしなければならないという立証の負担が軽減され、より迅速な解決が期待でき、性犯罪被害者の被害回復が図れることになったのです。ただし、この制度を利用するには、当該刑事被告事件の弁論終結までに、同事件の係属裁判所に同命令の申立をする必要があります(犯罪被害者等保護法23条)ので、注意が必要です。

損害賠償命令制度が利用できない性犯罪事件、たとえば痴漢や盗撮において示談が出来なければ、自ら民事裁判を提起して損害賠償請求をしていかざるを得ません。初期の段階から事件に携わり、事件の全体像を把握している弁護士に民事訴訟を依頼することで、より効果的な主張・立証を行うことができます。また、被害者本人が訴訟を起こした場合には、本人自身が民事訴訟の期日に裁判に出席しなければなりませんが、弁護士に民事訴訟手続を依頼した場合には、本人尋問が行われる場合以外には出席の必要はないので、日常生活を送るうえでの支障が少なくて済みます

性犯罪被害でお悩みの方へ弁護士からメッセージ

あなたが受けた被害は、犯人の言う「ちょっと魔が差しただけ」、「性的ないたずらをしただけ」で済まされるものではありません。あなたは犯罪被害に遭った被害者であり、泣き寝入りする必要はないのです。

性犯罪被害に遭われた方は、心身に大きな傷を負っておられます。第三者である弁護士は、あなたと全く同じ気持ちを共有することは出来ないかもしれません。しかし、何もできずに一人で抱え込み、苦しんでいる方のお気持ちを懸命に想像し、寄り添い、少しでも笑顔を取り戻してもらうべく、微力を尽くすことは出来ます。少しでも、一緒に前に進んでみませんか。少しでも、今のあなたにできること、私達が手助けできることを、一緒に探してみませんか。
あなたからのご相談を、私たち弁護士はいつでも待っています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
今回は、性犯罪被害に対してどのような罪が成立するのか、性犯罪被害の相談窓口・支援センター、性犯罪被害に遭われた方に対して弁護士ができることを説明してきました。私たち弁護士が、性犯罪被害に遭われた方のためにできることはたくさんあります。性犯罪被害を受けて苦しんでいる方は、いつでも私たち弁護士にご相談ください。

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経験豊富な弁護士がスピード対応

刑事事件は初動の72時間が重要です。そのため、当事務所では24時間受付のご相談窓口を設置しています。逮捕されると、72時間以内に検察官が勾留(逮捕後に更に被疑者の身体拘束を継続すること)を裁判所に請求するか釈放しなければなりません。弁護士へ依頼することで釈放される可能性が高まります。また、緊急接見にも対応しています。迅速な弁護活動が最大の特色です。

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