最新判例 平成27年12月14日|刑事事件に強い元検事弁護士が強力対応

最新判例 平成27年12月14日

刑事弁護コラム

最新判例 平成27年12月14日

事案

 バイオガス製造業を営む株式会社Aの国に対する補助金交付申請に係る業務の代理をしていた被告人が,不正の手段により環境省から補助金の交付を受けようと企て,真実は一部設備の設置が完了していないにもかかわらず,設置が完了した旨の内容虚偽の実績報告書を環境大臣に提出し,A社名義の口座に補助金の交付を受けたとして,補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律違反により起訴された事案。被告人が同法32条1項の「代理人」に当たるかが問題となった。

判旨(最判 平成27年12月14日)

 同条項は,事業主が「代理人」等の行為者の違反行為を防止するために必要な注意を尽くさなかったという過失の存在を推定した規定であるところ,事業者と行為者の間に違反行為を防止しうるだけの統制監督関係があることが上記推定の前提とされていると解される。したがって,事業者と行為者の間に統制監督関係がない場合には,前提を欠き,同条項は適用されない。そして,統制監督関係の有無については,事業主から行為者に与えられた権限の性質・内容,行為者の業務履行状況,事業主の関与状況その他の事情を総合して判断すべきである。
 本件では,被告人が実績報告書の作成・提出をA社から委任されていたのみならず,環境省との連絡等を行ったうえ,遂行状況をA社の代表取締役に報告していたこと等から統制監督関係が肯定され,被告人は同条項の「代理人」に当たるとされた。

コメント

 両罰規定による事業主の処罰根拠につき,事業主の過失を擬制したものであるとする立場と事業主の過失を推定したものであるとする立場がありますが(佐久間修「刑法総論」成文堂,2009),本判決は,最判昭和32年11月27日刑集11巻12号3113頁の立場を維持し,過失推定説に立ったものであると評価できます。

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