給付金詐欺|多発する給付金詐欺について元検事率いる中村国際刑事の弁護士が解説|刑事事件に強い元検事弁護士が強力対応

給付金詐欺|多発する給付金詐欺について元検事率いる中村国際刑事の弁護士が解説

刑事弁護コラム 給付金詐欺|多発する給付金詐欺について元検事率いる中村国際刑事の弁護士が解説

給付金詐欺|多発する給付金詐欺について元検事率いる中村国際刑事の弁護士が解説

 令和2年7月22日,全国で初めて持続化給付金の詐欺を行なったとして,埼玉県在住の男子大学生が逮捕されました。
 持続化給付金とは,令和2年4月20日に閣議決定された新型コロナウイルス感染症の緊急経済対策において創設された給付金で,他にも特別定額給付金などの制度が創設されています。
 これらの経済対策は,感染症拡大の影響により打撃を受けた国民生活や,特に厳しい状況にある事業者や個人事業主などの方を支援するという目的のために,簡易かつ迅速な給付を可能とする手続となっています。
 しかし,その簡易・迅速性ゆえに,新たな詐欺事件の温床にもなってしまっているのです。
 これより詐欺に加担してしまう危険性の特に高い持続化給付金・特定定額給付金について,制度や詐欺犯罪の手口などを紹介いたします。

持続化給付金とは

 持続化給付金は,「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」において「特に厳しい状況にある幅広い業種・事業形態の中堅・中小・小規模事業者,フリーランスを含む個人事業主に対して,万全のセーフティネットを構築すべく,事業の継続を支え,事業全般に広く使える,再起の糧とするための新たな給付金制度」として創設されました。
 飲食業,小売業を始めとして,農業,漁業,製造業,ライター・俳優業など幅広い業種において,法人・個人の方が対象となります。

持続化給付金の支給要件

 持続化給付金の支給要件は主に以下の通りです。

  • 新型コロナウイルスの影響により,ひと月の売上が,前年同月比50%以上減少した事業者
  • 2019年以前から当該事業による事業収入を得ており,今後も事業を継続する意思のある事業者
  • 法人の場合,資本金の額等が10億円未満,または上記の定めがない場合,常時使用する従業員の数が2000人以下である事業者

 なお,2019年に創業した場合や収入が一定期間に偏在している場合などには特例があります。

特別定額給付金とは

 特別定額給付金は「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」において「新型インフルエンザ等対策特別措置法の緊急事態宣言の下,生活の維持に必要な場合を除き,外出を自粛し,人と人との接触を最大限削減する必要がある。医療現場をはじめとして全国各地のあらゆる現場で取り組んでおられる方々への敬意と感謝の気持ちを持ち,人々が連帯して,一致団結し,見えざる敵との闘いという国難を克服しなければならない。」と示されたことを受け,感染拡大防止に留意しつつ,迅速かつ的確に家計支援を行うことを目的としています。

特別定額給付金の支給要件

 給付対象者は,基準日(令和2年4月27日)時点で住民基本台帳に記録されている者全員です。受給権者は,その者の属する世帯の世帯主です。
 もっとも,配偶者からの暴力を理由に避難している方で,事情により令和2年4月27日(基準日)以前に今お住まいの市区町村に住民票を移すことができない方は,一定の要件を満たしていれば,世帯主でなくとも,同伴者の分を含めて,避難先の市区町村に特別定額給付金の申請を行い,給付金を受け取ることができる措置を受けることができます。
 詳細は今お住まいの市区町村へお問い合わせください。給付額は,給付対象者1人につき10万円です。

特別定額給付金の申請方法

 感染拡大防止の観点から,給付金の申請は次の(1)郵送申請方式,及び,(2)オンライン申請方式が基本となります。
 給付は,原則として申請者の本人名義の銀行口座への振込みにより行われます。
 自治体により,やむを得ない場合に限り,窓口における申請及び給付を行うとしています。

郵送申請方式

 市区町村から受給権者宛てに郵送された申請書に振込先口座を記入し,振込先口座の確認書類と本人確認書類の写しとともに市区町村に郵送する形式です。

オンライン申請方式(マイナンバーカード所持者が利用可能)

 マイナポータル上の特別定額給付金の申請画面にて,振込先口座等を入力し,振込先口座の確認書類をアップロードするという電子申請の形式です。

持続化給付金詐欺の事例

受給対象者でないのに偽り受給

 受給対象者でない学生・主婦・サラリーマン・無職の方などが,個人事業主などと偽り,申請・受給する行為は紛れもない詐欺行為であり犯罪です。
 冒頭で取り上げた男子大学生も,実態のない個人事業主としての架空の確定申告や売上を記入し,持続化給付金を詐取したと報道されています。

コロナが原因ではないのに受給

 持続化給付金制度は,先に見たように,コロナにより打撃を受けた事業者などを支援する目的です。そのため,コロナ以外の原因により減収した場合には受給対象となりません。
 したがって,減収の原因がコロナ以外であるにもかかわらず本給付金を受給した場合にも詐欺罪が成立します。

二重受給

 申請・受給は1人1回までです。したがって,持続化給付金の受給対象者になるとしても,2回以上申請・受給してしまうと詐欺罪が成立します。

売上の不正操作

 持続化給付金の額は,前年度に比する減少率に対応して増額されます。したがって,本来の減収率を偽って申請・受給することも詐欺罪となります。

「簡単取得」などとうたう申請手続代行業者を利用

 SNSなどのインターネット上では,手数料等を取り給付金の代行申請を請け負う業者が多数見られます。中には,書類の改竄などを行い,本来受給資格がなかったり,満額もらえない状況であっても,満額の給付を得られるよう宣伝したりする業者もいます。
 このような業者を通じた申請であっても,本来受給できないはずの給付金を受給した場合には詐欺罪が成立する可能性があります。

持続化給付金詐欺の解決方法

 近時,知人から20万円ないし30万円の報酬を約束され,持続化給付金申請のために必要な書類を渡し,知人の先輩とされる者が100万円の不正申請するケースを多く耳にします。このケースを例に,どのようにして返金手続を行うか見ていきましょう。

警察署に対する自首

 持続化給付金を不正受給した場合,持続化給付金事務局を通じて,中小企業庁長官に対して返金しなければなりません(持続化給付金給付規程10条1項2号)。原則として申請者の屋号・雅号等の公表がなされる(規程10条2項2号)ことに加え,刑事告発される可能性があります(規程10条2項3号)。
 持続化給付金を返金するにあたっては,申請者の氏名,申請者番号,住所などの個人情報を伝えることになります。このとき,不正受給であることが判明した場合には,持続化給付金事務局による刑事告発がなされ,捜査機関に詐欺行為であることが発覚します。
 刑事告発がなされれば,法律上の自首(刑法42条1項)が成立せず,任意的減軽を受けることが出来ません。また,自首をしたケースと比べると,逮捕等の強制捜査がなされる可能性もあります。詐欺共犯事件では,共犯者同士の口裏合わせなどの証拠隠滅の恐れが高いと考えられていますので,自首をしなかった場合には,強制捜査がなされる可能性が高いといえます。
 今回のケースですと,持続化給付金詐欺の共犯ではあるものの,先輩から持ち掛けられて協力したものであって,分け前も20%ないし30%であることからすれば,捜査機関に自ら進んで自首をして捜査に協力して反省の態度を示すことで逮捕を回避でき,最終的に不起訴処分を獲得することも十分に考えられます。
 そこで,返金手続の前に,捜査機関に対する自首を検討することが最善であると考えられます。

持続化給付金事務局への返金申出

 捜査機関に対する自首をした後,持続化給付金の返金を申し出ることとなります。
 持続化給付金の給付及び返金事務は中小企業庁が設置した持続化給付金事務局が行うため(規程3条,9条2項,10条1項,同条2項),持続化給付金事務局に申し出ます。
 返金を申し出る際,申請人氏名,住所,申請者番号等を伝えることになります。

返金通知

 持続化給付金事務局に対して返金を申し出た場合には,持続化給付金給付申請をした際の登録メールアドレス宛に返金手続の通知がなされます。
 もっとも先輩に書類を渡しただけであり,本人が申請をしていないケースも散見され,その先輩がどのメールアドレスで登録し,持続化給付金給付申請をしたのかが分からない場合があります。その場合には,返金を申し出る本人の住所地に対して,返金通知をハガキで送ってもらうことになります。返金通知については,同種の相談が多く寄せられていることから,数週間から数か月を要することもあります。

返金手続

 持続化給付金を不正受給した場合の返金額については,持続化給付金給付規程に規定されています(規程10条2項1号)。
 「不正受給の日の翌日から返還の日まで、年3%の割合で算定した延滞金を加え、これらの合計額にその2割に相当する額を加えた額を支払う」とされています。
 仮に,持続化給付金詐欺を行ってから1年が経過すると,1,236,000円の返金を行う必要が生じます。

特別定額給付金詐欺の例

「給付金受給のためキャッシュカードが必要」などと偽りカードを詐取

 振り込め詐欺(オレオレ詐欺)などの特殊詐欺と同じ手口です。
 背後の組織的な犯罪集団から偽名を用いて高齢者宅などを訪問するよう指示され,キャッシュカードなどを受け取るという手法です。

「給付金受給のご案内」などと偽ったメール送信・葉書投函など

 総務省や市区町村などの実在の団体を騙り,URLのクリックや電話の問い合わせなどを促す内容のメールを送信したり,葉書を投函したりして,手続に必要であると誤信した方たちを騙し現金などを詐取するという手法です。

「給付金受給に必要」などと偽り電話で暗証番号などを聞き出す手口

 現実にキャッシュカードを交付しない場合であっても,電話口でキャッシュカードやクレジットカードなどのカード番号・暗証番号などを聞き出すという手法もあります。

「給付金受給のための手続が必要」などと電話で偽りATMへ誘導

 電話口で総務省や市区町村の担当者であるなどと偽り,ATMへ向かわせ,受給手続と誤信させて金銭を騙し取るという手口です。「給付金を受給するためには手数料の前払いが必要」などと偽り,ATMにて入金させるという手口もあります。

詐欺の量刑相場

 詐欺罪は刑法第246条により10年以下の懲役に付され(複数行為が起訴されれば併合罪加重されて上限は懲役15年です),また,このような犯罪を組織的に行った場合には組織的犯罪処罰法の適用によりさらに重い刑罰を下されることになります(懲役20年以下)。

刑法第246条

 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

 振り込め詐欺のような特殊詐欺になると,重い例としては,組織犯罪処罰法が適用された例で,主犯に対し懲役20年の判決が下されたという事例があります(東京地裁平成22年)。この事例では被害額が約1億4600万円でした。被害額が1000万円程度でも,主犯格であれば懲役9年6月という事例もあります(大阪高裁平成29年)。
 犯行が未遂に終わった事例であっても,犯行の悪質さなどによっては初犯でも懲役刑となる可能性があります。目先の100万円欲しさに詐欺を行うことには刑罰という重い代償が待っているのです。

まとめ

 いかがでしたでしょうか。今回は持続化給付金・特別定額給付金を狙った詐欺について説明いたしました。
 簡易な手続が設けられた目的は上述の通り感染症拡大に打撃を受けた事業者・国民の支援です。給付金を狙う詐欺は,このような真に助けを求める方々の得るべき給付金を奪い,さらに自分の将来や社会的信用をも失いかねない重大な犯罪であるのです。

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