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刑事判例紹介(16)

事案

被告人は警察官から職務質問された後、任意同行の名目で警察署に連行され、6時間余りにわたって実質逮捕にあたる違法な身柄拘束を受けた。このような違法逮捕の後、勾留中に得られた自白調書は違法収集証拠として、証拠能力を否定されるべきであるとして争った。

判旨(東京高裁昭和54年判決)

…右実質的逮捕の時点において緊急逮捕の理由と必要性はあったと認めるのが相当であり、他方、右実質逮捕の約3時間後には逮捕令状による通常逮捕の手続がとられていること、右実質逮捕の時から48時間以内に検察官への送致手続がとられており、勾留請求の時期についても違法の点は認められないことをあわせ考えると、右実質逮捕の違法性の程度はその後になされた勾留を違法ならしめるほど重大なものではないと考える。また、他に右勾留を違法無効とするような事情は記録上何ら認められない。したがって、逮捕の違法を理由として右勾留中に作成された被告人の供述調書を違法収集証拠であるとする所論は失当である。

コメント

勾留される前に逮捕されていることが必要であり、これを逮捕前置主義といいます。これは、身柄拘束時間が短い逮捕を前置し、それでもなお捜査が必要な場合にのみ、身柄拘束期間の長い勾留を認めることで、身柄拘束期間を最小限にとどめ、被疑者の権利を保護するものです。本判決では、勾留の前提となる逮捕は違法であるが、逮捕に続く勾留を違法ならしめるほどの重大な違法はないと判断し、本件勾留を適法と認定した上で、適法な勾留中に作成された自白調書であることを理由に、その証拠能力が肯定されました。

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