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刑事判例紹介(28) – 第三者の住居内で逮捕した場合に、無令状で第三者宅を捜索差押えすることができるか否かが争われた事例

第三者の住居内で逮捕した場合に、無令状で第三者宅を捜索差押えすることができるか否かが争われた事例

事案

A男は覚せい剤を所持しているとの疑いがかけられていたことから、職務質問が行われた。そのころ雨が降っていたため、近くのB方でなおも所持品検査をしていたところ、所持していた紙袋から覚せい剤が見つかったため、現行犯逮捕された。その後、当該覚せい剤を運び込もうとしていたB子の部屋まで逮捕に基づく捜索を行ったところ、さらに覚せい剤が見つかったためこれを差し押さえた。
B子の部屋の捜索差押えは、「逮捕の場所」とは言えず、逮捕に基づく捜索差押えとして適法ではないとして争われた。

判旨(福岡高裁平成5年判決)

「逮捕の現場」とは逮捕した場所との同一性を意味する概念ではあるが、被疑者を逮捕した場所でありさえすれば、常に逮捕に伴う捜索等が許されると解することはできない。すなわち、住居に対する捜索等が生活の平穏やプライバシー等の侵害を伴うものである以上、逮捕に伴う捜索等においても当然この点に関する配慮が必要である…。
被疑者以外の者の住居内に…移動し、同所で職務質問を実施した後被疑者を逮捕したような場合には、逮捕に基づき捜索できる場所も自と限定されると解さざるを得ないのであって、…逮捕に基づく捜索として正当化することはできない。

コメント

「逮捕の現場」であれば常に逮捕に基づく捜索差押えが認められるというわけではありません。
本件では、被疑者を逮捕した場所のみをもって逮捕に伴う捜索を認めているわけではなく、第三者の生活の平穏に対する配慮を示した上で、「逮捕の現場」に該当するか否かを柔軟にとらえていると言えるでしょう。

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